【はじめての不動産売却】売却後の税金と計算方法、節約方法

売却後の税金と計算方法、節約方法も解説
売却後の税金と計算方法、節約方法も解説

不動産売却の税金について…
概要や計算方法を知りたい!
税金を節約したい!

こういった疑問に答えます。

コラムの内容
  • 不動産売却の税金概要や計算方法を具体的にシミュレーションして説明します。
  • 節約方法を6つのポイントで解説。
小川

この記事を書いている私は実際に自分の不動産を売却した時に譲渡益があり確定申告前に税務署で相談から税金の申告をした経験があります。その時に税務署の相談員に聞いたことや自分でした確定申告の経験をもとにコラムを書きました。

株式会社イシトチ不動産は石川県の金沢市、野々市市、白山市で不動産売却を専門にしている不動産会社です。

目次

不動産売却の税金概要や計算方法

不動産売却の税金概要や計算方法
不動産売却の税金概要や計算方法

不動産を売却するとどんな税金が掛かるか知っていますか?

私が自分の不動産を売却した時には確定申告をしてウン十万円ほど税金を支払いました。

事前に調べておけばもっと節税できたかもしれません…

このコラムでは私の体験談と不動産業者としての経験をもとに書きました。

みなさんはこのコラムを参考に節税を考えて頂ければと思います!

不動産を売却すると掛かる税金

不動産売却の時に掛かる税金は印紙税、登録免許税、譲渡所得税・住民税の4種類の税金です。

事前に知っておけば節税出来ますのでぜひ参考にして下さい。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税・住民税

順番に説明します。

印紙税

建築工事などの請負契約書や、商品などの販売代金を受け取ったときに作成する売上代金の受取書などは、その文書の記載金額に応じて印紙税が課税されます。

(抜粋)
100万円を超え 500万円以下のもの 1千円
500万円を超え 1,000万円以下のもの 5千円
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの 1万円
5,000万円を超え 1億円以下のもの 3万円

平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される、不動産の譲渡に関する契約書について印紙税の税額が軽減されています。

登録免許税

不動産の名義変更の登記をする時に課税されます。

相続や贈与などで所有者の名義を変更して売却するときに登録免許税を支払います。

固定資産税評価額×税率(0.4%から1.5%ぐらい)

譲渡所得税・住民税

土地、建物などの資産を譲渡することによって得た所得のこと。

所有期間によって課税率が変わります

5年以下の土地・建物等 短期譲渡所得 39.63%
5年を超える土地・建物等 長期譲渡所得 20.315%

不動産売却の譲渡所得税の計算方法

売却後に譲渡所得税が掛かるかを算出します。譲渡益がでれば譲渡所得税が掛かります。

①売却価格 – ( ②取得費用※1 + ③譲渡費用) – ④特別控除額 = 課税譲渡所得
課税譲渡所得 × ⑤税率(所得税・住民税)=税額

出典:タックスアンサー(国税庁)

①売却価格

不動産を売却した金額のこと。売却価格もしくは譲渡価格といいます。

②取得費用

売却した不動産を取得するために掛かった費用。

土地や建物、マンションの購入金額や仲介手数料などが取得費になります。

主なもの

1.不動産購入時の登録免許税、不動産取得税、印紙税、登記費用。2.立退料、3.造成費用、4.測量費、5.所有権などを確保するための訴訟費用 ※相続財産である土地を遺産分割するためにかかった訴訟費用等は、取得費になりません。6.取壊し費用、7.設備費など

相続や贈与によって取得した不動産を売った場合の取得費は、被相続人や贈与者がその不動産を購入したときの代金や手数料などを引き継いで計算することができます。

取得費が不明の場合は、譲渡価額の5%を概算取得費にできます。

国税庁HP引用

※1 減価償却費

建物の取得費は購入金額または建築代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額となります。建物の取得費を算出するためには減価償却費の計算が必要になります。

減価償却費 = 取得費用 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

経過年数の端数は1年未満の場合、6か月以上は1年、6か月未満は切り捨てます。

「償却率」は建物の使用用途・建物構造によって変わります。

耐用年数
耐用年数

国税庁HP引用

③譲渡費用

不動産の売却の時に掛かった費用のこと

代表的なもの

1.仲介手数料、2.印紙、3.立退料、4.取壊し費用

④特別控除額

特例の条件を満たせば譲渡所得から控除できる金額のこと。

例えば、「3000万円特例控除」の条件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。もし譲渡所得がなくなれば税金は掛かりません。

⑤税率

売却する不動産の所有期間によって税率が変わります。

  • 長期譲渡所得…不動産の所有期間が5年を超える場合は税率20.315%
  • 短期譲渡所得…不動産の所有期間が5年以下の場合は税率39.63%
所有期間について

不動産を売った年の1月1日現在で何年経過しているかで決めます。

2016年(平成28年)5月7日に取得して2021年(令和3年)5月8日に譲渡した場合は実質的に5年超えての所有になるが税務上は長期譲渡所得にはなりません。

2016年(平成28年)5月7日に取得して2022年(令和3年)1月1日以降に譲渡した場合は長期譲渡所得になります。

譲渡所得税の計算例

長期譲渡所得の所得税・住民税

case 01
2010年(平成22年)5月 3,000万円で中古マンションを購入
※非事業用・RC造

2023年(令和05年)2月 3,200万円で売却
※条件=マイホームの特例は対象外として計算

  • 所有期間 12年
  • 税率 20.315%
  • 減価償却期間 13年

公式 ①売却価格‐(②取得費用+③譲渡費用)‐④特例=課税譲渡所得

課税譲渡所得×⑤税率=税金

②取得費用 26,490,000円
購入金額3000万円ー減価償却費3,510,000円

※減価償却費用の計算 中古マンション(土地1000万円、建物2000万円)
建物2000万円 × 0.9 × 0.015 × 13年=3,510,000円
経過年数6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は切り捨てます。

③譲渡費用 1,312,000円
仲介手数料1,122,000円、印紙代1万円、登記費用18万円

①3200万円ー(②26,490,000円+③1,312,000円)=4,198,000円×⑤20.315%=852,823円

税金は852,823円になります。

短期譲渡所得の所得税・住民税

case 02
2019年(令和1年)5月 3,000万円で中古マンションを購入
※非事業用・RC造

2023年(令和05年)2月 3,200万円で売却
※条件=マイホームの特例は対象外として計算

  • 所有期間 3年
  • 税率 39.63%
  • 減価償却期間 4年

公式 ①売却価格‐(②取得費用+③譲渡費用)‐④特例=課税譲渡所得

②取得費用 28,920,000円
3000万円ー減価償却費1,080,000円

※減価償却費用の計算 中古マンション(土地1000万円、建物2000万円)
2000万円 × 0.9 × 0.015 × 4年=1,080,000円
経過年数6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は切り捨てます。

③譲渡費用1,312,000円
仲介手数料1,122,000円、印紙代1万円、登記費用18万円

①3200万円ー(②28,920,000円+③1,312,000)=1,768,000円×⑤39.63%=700,658円

税金は700,658円になります。

※ここで取り上げた事例は簡易的なシミュレーションになります。各ケース別で計上する費用など違いますので、必ず税務署の無料相談や税理士などにご相談下さい。

譲渡所得の控除制度

上記のシミュレーションで支払う税金があっても譲渡所得の控除制度を利用すれば税金を支払わなくても良いことがあります。

売却前に税金シミュレーションと一緒に控除制度も調べておいて下さい。

  • 3000万円特例控除
  • 特定居住用財産の買換え特例
  • 譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例

3000万円特例控除

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。

これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

代表的な条件

  • マイホームを住まなくなってから3年以内に売る
  • マイホームを売るまでにその他の土地活用をして利益を得ていない
  • 売った年から3年前までこの特例を受けていない
  • 売り手と買い手が親子などの特別な関係にない

国税局HPより引用

特定居住用財産の買換え特例

特定のマイホーム(居住用財産)を、令和5年12月31日までに売って、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となるわけではありません。)。

これを、特定の居住用財産の買換えの特例といいます。

国税局HPより引用

譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例

マイホーム(旧居宅)を令和5年12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡による損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。

さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。

これらの特例を、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例といいます。

国税局HPより引用

節約方法を6つのポイントで解説

節約方法を6つのポイントで解説
節約方法を6つのポイントで解説

節税できるポイントはどこでしょうか?

残念ですが…

印紙税や登録免許税、譲渡所得税などは節税する方法はありません。算出された金額に税金が掛かるだけ。

私が自分の不動産を売却してわかったことは、

節税のポイントは事前に制度を知っているかどうかです。

売却してから節税方法を探しても遅い…

節約方法は売却計画の1つとして考えておかなければいけません。

  • 自宅は10年以上所有してから売却する
  • 相続した空き家は相続から3年以内に売却する
  • 相続税を取得費に加算する
  • 譲渡所得が出たらふるさと納税する
  • 不動産を購入した時の領収書を探す
  • 裏技!

順番に説明します。

自宅は10年以上所有してから売却する

土地、建物等の所有期間が5年以内か、5年超かで税率が変わりますがマイホーム(居住用財産)を売って、一定の要件に当てはまるときは、長期譲渡所得の税額を通常の場合よりも低い税率で計算する軽減税率の特例の適用を受けることができます。これを10年超所有軽減税率の特例と言います。

1.課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21%(所得税10.21%・住民税4%)
2.課税譲渡所得6,000万円超の部分20.315%(所得税15.315%・住民税5%)

※ 買換えた住宅における住宅ローン控除との併用はできません。

相続した空き家は相続から3年以内に売却する

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例が使えると節約できます。

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等が一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売ることが条件の1つです。

相続税を取得費に加算する

相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。これを「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」と言います。

その財産を取得した人に相続税が課税されていることが条件の1つになります。

譲渡所得が出たらふるさと納税する

ふるさと納税は自治体に対して寄附を行った場合に、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税および住民税からそれぞれ控除が受けられる制度です。

不動産売却を行い譲渡益が発生して譲渡所得があれば収入が増えたことになります。その場合、ふるさと納税をすることによって節税できます。

不動産を購入した時の領収書を探す

譲渡所得税の計算例で紹介したシミュレーションでは不動産購入時の費用は計上していません。

収納などの片隅に当時の仲介手数料の領収書などがあればどれくらい節約できるのでしょうか?

例えば、case 01の場合に仲介手数料1,036,800円、登記費用18万円、印紙税15,000円、他30,000円で計1,261,800円の費用が掛かった場合のシミュレーションをしてみます。

長期譲渡所得の所得税・住民税では、経費アリの場合は税金が596,489円になります。

経費ナシでは852,823円でしたので、▲256,334円の節約になります。

case 02の短期譲渡所得の所得税・住民税では、経費アリの場合は税金が200,607円になります。

経費ナシでは700,658円ですので、▲500,0514円の節約になります。

昔の領収書を探すだけでこれだけの節約ができます!

裏技

不動産売却の費用の中で一番高いのが不動産会社に支払う仲介手数料です。何も言わなければ不動産会社は法律上限額の金額を請求してきます。

上記のシミュレーションで仲介手数料を30%OFFにした場合の効果を考えてみます。

例えば、case 01に経費算入した場合で、仲介手数料785,400円(30%OFF)、登記費用18万円、印紙税15,000円、他30,000円で譲渡費用計975,400円としてシミュレーションをしてみます。

長期譲渡所得の所得税・住民税では、経費アリ+仲介手数料割引の場合は税金が664,869円になります。

経費アリ+仲介手数料割引ナシは596,489円ですので、支払う税金は68,380円程増えます。

しかし、支払う仲介手数料+税金の金額で比べると、▲268,220円になり結構な金額が節約できます。

短期譲渡所得の所得税・住民税では、経費アリ+仲介手数料割引の場合は税金が334,000円になります。

経費アリ+仲介手数料割引ナシは200,607円ですので、支払う税金は133,393円増えます。

しかし、支払う仲介手数料+税金の金額で比べると、▲203,207円になります。

マイホーム特例を利用して、もし税額が0円になれば仲介手数料割引分がまるまる節約できます!

ただし、もともと値引きを受け付けていない不動産会社に対して無理に値引き交渉しても値引きはほとんど期待できません。もし、値引きをしてほしいなら割引キャンペーンがある不動産会社を選びましょう。

売却を検討するときは仲介手数料の割引を定期的に実施する不動産会社もあります。

少しでも経費は安い方がいいですよね?

HPなどでチェックしてから問い合わせをしましょう!

まとめ

いかがだったでしょうか?

不動産売却の税金について概要や計算方法を知りたい!少しでも税金を節約したい!と考えている不動産売却を検討中の人に対して不動産売却の税金概要や計算方法を具体的にシミュレーションして、節約方法を6つのポイントで解説しました。

この記事を書いている私は15年以上不動産業に携わっており1000件以上の相談実績があります。

しかも、自己所有の不動産を売却した時にウン十万円の税金を支払った経験もあります。

みなさんが心配する気持ちはよく分かります。みなさんにはこのコラムを読んでもらって少しでも節税対策して頂ければと思います。

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