相続の準備を進める中で「直系血族」や「直系尊属」という言葉を目にしたことはありませんか?
相続税の優遇を受けるための条件としてよく登場するこれらの言葉ですが、「実際には誰のことを指すのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
日常生活ではほとんど使わない言葉だけに、調べても難解に感じてしまいがちです。
しかし、これらの言葉の意味を正確に理解しないまま放置しておくと、相続手続きの際に誤解が生じたり、大切な家族に不必要な負担をかけてしまう可能性があります。
また、相続税の控除を最大限に活用できないことで、余計な出費が発生するかもしれません。
この記事では、「直系血族」や「直系尊属」といった用語の基本的な意味や相続人となる範囲を分かりやすく解説します。さらに、関連する用語などもまとめてご紹介します。
この記事を読むことで、身近な人の相続手続きをスムーズに進めるための基本知識が得られるはずです。ぜひ参考にして、大切なご家族をしっかりサポートしてください。
父親が亡くなったとき、相続の準備が何もできていないことに気づき、大変な思いをしました。亡くなる前に話し合いができればよかったのですが、父が病気になってからでは家族の誰もが切り出せず、結局、死後に慌てて対応することに…。どうすればいいのか、どこに相談すればいいのかもわからず、不安と混乱の中で進めるしかありませんでした。だからこそ、相続の準備や対策は健康なうちに準備をすることの大切さを強く感じます。(代表 小川)
このブログでは、ご家族のために相続準備や対策を考えている人、大切な方の相続手続きをサポートするために情報収集している人に対して、実務的なアドバイスや市区町村などへの届出、法律改正等の最新情報を取り上げています。
この記事を書いているイシトチ不動産代表の小川は不動産業、建築業で15年以上の経験を積み、1000件以上の無料相談をおこなってきました。
プロフィール
元ホテルマンで現在はファイナンシャルプランナー兼不動産業者として活動している私は、日本ファイナンシャル協会のAFP認定講習をきっかけにこの道に進むことを決めました。ホテル業界での経験を活かし、顧客サービスの精神を不動産業界に持ち込んでいます。これまで1000件以上の無料コンサルティングと数多くの不動産取引に関わり、幅広い金融知識と深い市場理解を習得しました。また父の死をきっかけに相続準備の重要性を痛感し、家族に負担を掛けない相続準備の相談もおこなっています。
この記事を、相続の「基礎知識」の習得や準備をしていくための「ヒント」としてお役立てください。
相続準備は重要です。よかったら、私が相続手続きのサポートを取組むきっかけになった「一人で悩まないためのガイド、実体験からの相続アドバイス」という記事も読んでみて下さい。
不動産売却の基礎知識や今からの出来る準備などを知りたい方はこちらのブログをご参考下さい。
直系血族とは
直系血族とは、家系図上で自分からまっすぐ縦につながる血縁関係を持つ親族のことを指します。
具体的には、親や祖父母といった「先祖」にあたる人たち(直系尊属)や、子や孫といった「子孫」にあたる人たち(直系卑属)が含まれます。
民法上の相続関係においても重要なポイントであり、相続順位や分配割合を理解するうえで欠かせない基礎知識です。
尊属と卑属の違い
「尊属」とは、自分よりも前の世代にあたる血族を意味し、「卑属」は自分より後の世代の血族を指します。
直系尊属
父母、祖父母、曾祖父母など
直系卑属
子、孫、曾孫となど
直系と傍系
親族関係を整理するうえで重要な「尊属」と「卑属」ですが、これらはさらに「直系」と「傍系」に分類されます。
「直系」は上記でも説明した通り、自分から見て縦のラインで血縁関係が続く親族を指します。
それぞれの違いを理解することで、相続や家族関係をより明確に把握することができます。
傍系
傍系とは、自分と同じ祖先から分かれて横のラインでつながる血縁関係を指します。たとえば以下のような親族が該当します
- 兄弟姉妹
- 従兄弟・従姉妹
傍系の親族は、直系のように縦につながる関係ではなく、横に広がる関係を持つ血族です。
たとえば、自分の兄弟姉妹は親を共通の祖先としていますが、自分とまっすぐにはつながりません。
その他
相続や親族関係について考えるとき、「姻族」や「親族」という言葉も登場します。
特に、直系血族や傍系血族と区別するためにこれらの意味を正確に理解しておくことが必要です。
姻族とは
「姻族」とは、婚姻によってつながった親族関係を指します。血縁関係がないものの、結婚を通じて法律上の親族となる人々のことです。具体的には、以下のような関係が該当します。
- 義父母(配偶者の父母)
- 義兄弟姉妹(配偶者の兄弟姉妹)
- 義祖父母(配偶者の祖父母)
姻族は血族とは異なるため、法律上の権利や義務が血族とは異なることがあります。たとえば、姻族は相続権を持ちませんが、場合によっては扶養義務が生じることがあります。
親族とは
「親族」とは、血族・姻族・配偶者を含む広い範囲の関係を指します。民法では、「6親等以内の血族、3親等以内の姻族、配偶者」が親族と定義されています。
具体的には、以下のような人々が親族に該当します。
- 6親等以内の血族:親、子、兄弟姉妹、従兄弟姉妹、叔父叔母など
- 3親等以内の姻族:義父母、義兄弟姉妹、義祖父母など
- 配偶者:血族でも姻族でもないが、法律上は親族として扱われる
親族に該当する人々は、相続や扶養義務などの法律関係に影響を及ぼします。特に相続では、相続権がある人とない人を区別するうえで親族の範囲を正確に把握することが重要です。
相続人は誰がなる?
相続が発生したとき、親族の誰が相続人になるかは民法によって定められています。
相続人は「配偶者」と「血族」が中心となり、家族構成によってその順位や範囲が異なります。基本的には以下のように決まります。
配偶者は常に法定相続人になります。
配偶者以外の相続人は、以下の優先順位で決まります
- 第1順位:直系卑属(子供や孫)
- 第2順位:直系尊属(親や祖父母)
- 第3順位:兄弟姉妹
被相続人に子供がいる場合は第1順位が優先され、直系尊属や兄弟姉妹は相続人になりません。この仕組みは、被相続人と近い関係の人が優先される考え方に基づいています。
配偶者あり、子供なしの場合
被相続人に配偶者がいるものの子供がいない場合、相続人は配偶者と直系尊属(親や祖父母)になります。この場合の相続割合は以下の通りです。
- 配偶者:3分の2
- 直系尊属:3分の1
たとえば、被相続人に両親が健在の場合、両親が直系尊属として相続に参加し、3分の1の財産を分け合います。もし親がすでに亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります。
配偶者なし、子供なしの場合
被相続人に配偶者も子供もいない場合、相続人は直系尊属と兄弟姉妹が対象になります。
直系尊属がいる場合:直系尊属(親や祖父母)が単独で相続人になります。親が健在であれば親が相続人となり、親がいない場合は祖父母が相続人となります。
直系尊属がいない場合:兄弟姉妹が相続人になります。この場合、財産は兄弟姉妹で均等に分配されます。ただし、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子供(甥や姪)が代襲相続人として相続します。
まとめ
いかがだったでしょうか?
この記事では、「直系血族」や「直系尊属」といった用語の基本的な意味や、その具体的な範囲について詳しく解説しました。
相続手続きを進めるうえで、これらの用語を正しく理解することは、相続人の範囲や権利関係を把握するために非常に重要です。
さらに、関連する「尊属」や「卑属」、そして「傍系血族」や「親族」「姻族」といった用語についても触れ、相続に関わる親族関係を体系的に説明をしました。
相続は複雑に感じられるかもしれませんが、正しい知識を持つことで手続きは格段にスムーズになります。
また、事前に適切な準備をしておくことで、大切なご家族に余計な負担をかけることなく、安心して財産を引き継ぐことができます。
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