相続税の2割加算がどのような仕組みなのかご存じですか?
「家族の相続だから問題ない」と思っていても、法定相続人以外の方が財産を受け取ることで余計な税金がかかる可能性があります。
事前に仕組みを理解せずに相続手続きを進めてしまうと、思わぬ税負担を背負うことになり、結果としてご家族の資産が減少してしまうことも。
この記事では、相続税の2割加算の基本知識を解説し、対象者と対象外となる人、そして具体的な計算方法や注意点を詳しくご紹介します。
相続は適切な準備をすることで、相続手続きをスムーズに進めることができ、大切な家族をしっかりとサポートすることができます。
ぜひこの記事を、相続手続きのヒントとしてお役立てください。
父親が亡くなったとき、相続の準備が何もできていないことに気づき、大変な思いをしました。亡くなる前に話し合いができればよかったのですが、父が病気になってからでは家族の誰もが切り出せず、結局、死後に慌てて対応することに…。どうすればいいのか、どこに相談すればいいのかもわからず、不安と混乱の中で進めるしかありませんでした。だからこそ、相続の準備や対策は健康なうちに準備をすることの大切さを強く感じます。(代表 小川)
このブログでは、ご家族のために相続準備や対策を考えている人、大切な方の相続手続きをサポートするために情報収集している人に対して、実務的なアドバイスや市区町村などへの届出、法律改正等の最新情報を取り上げています。
この記事を書いているイシトチ不動産代表の小川は不動産業、建築業で15年以上の経験を積み、1000件以上の無料相談をおこなってきました。
プロフィール
元ホテルマンで現在はファイナンシャルプランナー兼不動産業者として活動している私は、日本ファイナンシャル協会のAFP認定講習をきっかけにこの道に進むことを決めました。ホテル業界での経験を活かし、顧客サービスの精神を不動産業界に持ち込んでいます。これまで1000件以上の無料コンサルティングと数多くの不動産取引に関わり、幅広い金融知識と深い市場理解を習得しました。また父の死をきっかけに相続準備の重要性を痛感し、家族に負担を掛けない相続準備の相談もおこなっています。
この記事を、相続の「基礎知識」の習得や準備をしていくための「ヒント」としてお役立てください。
相続準備は重要です。よかったら、私が相続手続きのサポートを取組むきっかけになった「一人で悩まないためのガイド、実体験からの相続アドバイス」という記事も読んでみて下さい。
不動産売却の基礎知識や今からの出来る準備などを知りたい方はこちらのブログをご参考下さい。
相続税の2割加算とは
相続税には、特定の条件に該当する場合に税額が通常よりも増える「2割加算」という仕組みがあります。この制度は、相続人以外の人が相続財産を受け取る場合に適用され、税負担を公平にすることを目的としています。
日本の相続制度は、家族や近親者を主に保護する仕組みとなっており、法定相続人(配偶者や子供など)を優先的に保護しています。そのため、兄弟姉妹や甥・姪、または相続人以外の第三者が財産を受け取る場合には、税負担が重く設定されており、これが2割加算の背景となっています。
この2割加算の対象になるかどうかを正しく理解し、事前に対策を立てることで、余計な税負担を防ぐことができます。
特に、遺言書や相続手続きにおいて、法定相続人以外の人が財産を受け取る場合には注意が必要です。
2割加算の対象者
相続税の「2割加算」が適用される人と適用されない人がいて、ここでは、2割加算の対象者と対象外の人を具体的にみていきます。
対象外の人
- 配偶者
- 父母
- 子供
- 養子縁組した人
- 代襲相続人となった孫
配偶者は法定相続人として最優先で保護される立場にあり、2割加算の対象にはなりません。
故人の父母も法定相続人として、2割加算の対象外となります。ただし、父母が相続人になるのは、子供がいない場合や全ての子供が相続を放棄した場合などに限られるので注意が必要です。
また、故人の子供も、一親等の血族として2割加算の対象外です。これには実子だけでなく、養子縁組をした子供も含まれますし、代襲相続人の孫も、一親等の血族である子供の地位を引き継ぐため、2割加算の対象外となります。
ちなみに、代襲相続とは、故人よりも先に相続人である子供が亡くなっていた場合に、その子供の子(被相続人の孫)が相続順位を繰り上げて相続人となる制度です。
対象の人
相続税の2割加算が適用される「対象の人」には、法定相続人以外の人や、法定相続人でも相続順位が低い人が含まれます。これらの人々は相続財産を受け取った際に、通常の相続税額に20%が加算される仕組みになっています。具体的な対象者を以下に挙げて説明します。
- 兄弟姉妹
- 甥や姪
- 代襲相続人ではない孫
兄弟姉妹は法定相続人になることがありますが、直系尊属や直系卑属とは異なり、相続順位が低いため2割加算の対象となります。
また、故人の甥や姪が財産を受け取る場合も、2割加算の対象です。これは、甥や姪が法定相続人であっても、直系親族ではないためです。
代襲相続人として相続順位を繰り上げた孫は2割加算の対象外ですが、そうでない場合、遺言などで財産を受け取った孫は2割加算の対象となります。
- 祖父母
- 相続人ではない親族や第三者
- 孫養子
故人の祖父母が財産を受け取る場合も、2割加算が適用されます。これは、直系尊属であるものの、通常の相続順位ではないためです。
また、法定相続人以外の親族(例:いとこ)や、友人、知人などの第三者が財産を受け取った場合、2割加算が適用されます。
孫が養子縁組をしている場合でも、実子ではないため2割加算の対象になります。
- 特別縁故者
特別縁故者とは、法定相続人がいない場合に裁判所の判断で相続財産を分与される人を指します。親族以外でも適用されることがあり、2割加算の対象となります。
計算式と流れ
2割加算は最終的な税額に加算するのがポイントです。下記の事例を参考にしてみてください。
計算式
加算金額=相続税額×0.2
流れ
課税遺産総額の計算
↓
相続税の総額の計算
↓
各相続人等の相続税額の計算
↓
加算金額の計算(相続税額×0.2)
例えば、相続税額が240,000円であれば、48,000円(24万円×0.2)が加算額になります。
240,000円+48,000円=288,000円
よって、288,000円が相続税になります。
国税庁ホームページ「No.4157 相続税額の2割加算」参照https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4157.htm(20241216)
国税庁ホームページ「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」参照https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sozoku-tokushu/souzoku-ayamarijireishu29.htm(20241216)
国税庁ホームページ「財産を相続したとき」参照https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_5.htm(20241216)
注意事項
相続税の2割加算は、法定相続人以外や特定の条件に該当する場合に課税額が増える制度です。
この制度では、特に養子や孫、生命保険金などの取り扱いについて注意が必要です。
養子縁組と相続税の2割加算
被相続人の養子は、法律上「一親等の血族」とみなされるため、相続税の2割加算の対象にはなりません。養子は第1順位の法定相続人として扱われるため、基礎控除額も増え、相続税対策として養子縁組が利用されることがあります。
ただし、被相続人の孫を養子とした場合は注意が必要です。なぜなら、孫養子は2割加算の対象となるからです。ただし、以下のような場合には例外として対象外になります
- 被相続人の子(孫の親)が相続開始前に死亡している。
- 子が相続権を失い、孫が代襲相続人として相続する。
上記に該当しない場合、孫養子は2割加算の対象となります。
生命保険金や死亡退職金の2割加算
生命保険金や死亡退職金は、被相続人が亡くなったことをきっかけに受け取る財産であり、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
これにより、法定相続人以外の人がこれらの財産を受け取る場合には、相続税額に2割加算が適用されます。
生命保険金は非課税枠が設けられているものの、非課税額を超える部分については課税対象となり、さらに2割加算が発生します。
その他、遺言書で法定相続人以外の人に財産が分配される場合、その人が2割加算の対象になる可能性がありますし、特別縁故者や友人、親族以外の第三者が財産を受け取った場合、2割加算が適用されるため、相続人を慎重に選ぶことが重要です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
「家族の相続だから問題ない」と思っていても、法定相続人以外の方が財産を受け取ることで余計な税金がかかる可能性があります。
事前に仕組みを理解せずに相続手続きを進めてしまうと、思わぬ税負担を背負うことになり、結果としてご家族の資産が減少してしまうことも。
この記事では、相続税の2割加算の基本知識を解説し、対象者と対象外となる人、そして具体的な計算方法や注意点を詳しくご紹介しますした。
相続は適切な準備をすることで、相続手続きをスムーズに進めることができ、大切な家族をしっかりとサポートすることができます。
ぜひこの記事を、相続手続きのヒントとしてお役立てください。
よかったら、下記の記事も参考にしてください。
自分の相続対策や準備、身近な人の相続手続きをサポートしようとしても、基本的な知識がないとスムーズに進められず、ストレスを感じられるかもしれません。実際、相続税の基礎控除や課税仕組みを理解していないと、適切な相続対策ができずに余分な税金を払ってしまうケースが少なくありません。この「相続税はいくらから?基礎控除の基本知識」という記事では基礎控除について詳しく解説しました。ぜひ、この記事を、相続準備のヒントとしてお役立てください。
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もし、最愛の方が亡くなられ、このブログをお読みいただいているのであれば、故人様のご逝去に際し、謹んで哀悼の意を表します。心よりお悔やみ申し上げますとともに、故人様のご冥福を心からお祈り申し上げます。
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私は父の死をきっかけに、実際に相続手続きを行う中で、机上の理論だけでは足りないこと、そして実務的な知識の重要性を痛感しました。
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これらの経験から、「もし他にも同じように困っている人がいたら、自分の経験で少しでも役に立てるのではないか」と思い、このブログを始めることにしました。
このブログでは、私が直面した課題や解決策、そして実際の手続きで得た知識を共有しています。
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株式会社イシトチ不動産は石川県の金沢市、野々市市、白山市を中心に、不動産や相続の相談や取引きを通して、お客様にとって最良のパートナーになることを目標にしている会社です。
このような仕事に取り組んできました!
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この記事の執筆者
プロフィール
元ホテルマンで現在はファイナンシャルプランナー兼不動産業者として活動している私は、日本ファイナンシャル協会のAFP認定講習をきっかけにこの道に進むことを決めました。ホテル業界での経験を活かし、顧客サービスの精神を不動産業界にも持ち込んでいます。これまで1000件以上の無料コンサルティングと数多くの不動産取引に関わり、幅広い金融知識と深い市場理解を習得しました。また私の父の死をきっかけに相続手続きの重要性を痛感し相続手続きの相談もおこなっています。