結論から言うと、遠方にお住まいでも、鍵は「キーボックス」という暗証番号式の保管箱で管理するのが基本です。査定・内覧・解体など、契約前・契約後を通じて鍵が必要になる場面は何度もありますが、キーボックスを設置しておけば、そのたびに現地へ帰ったり、鍵を郵送したりする必要はありません。

【実話】実家の売却を決めた。あとは、どの不動産会社に頼むかを考えている。そんな段階まで進んだとき、ふと、こんな疑問が浮かんだという方がいらっしゃいました。
「そういえば、鍵はどうすればいいんだろう」
実際に売却の話を進めようとすると、査定のための現地確認、購入希望者の内覧、解体が必要な場合はその立ち会いなど、家の鍵を使う場面が何度も出てきます。しかし、実家を離れて暮らしていると、そのたびに鍵をどう扱えばいいのか、見当がつかなかったそうです。
「毎回、鍵を郵送すればいいのだろうか。でも、査定や内覧のたびに送るのは、さすがに現実的じゃない」
「かといって、そのたびに自分が現地まで戻るのも難しい」
「では、一体どうすればいいのか」
このお客様がまだ、どの不動産会社に依頼するかを決めていない段階で抱いていた、正直な疑問でした。
実は、この「鍵をどうするか」という問題は、遠方から実家を売却しようとする方の多くが、同じように一度は立ち止まってしまうポイントです。査定や価格の話に気を取られがちですが、実際に動き出すと、地味だけれど避けられない現実的な課題として、必ずどこかで顔を出してきます。
今回は、この鍵の問題について、
- そもそも不動産の実務では、どういう仕組みで鍵を管理するのか
- 実際の売却の場面で、契約前・契約後を通じて、鍵がどんな場面で必要になるのか
- 私たちが、その鍵をどのように取り扱い、対応しているのか
という流れで、実際の記録とともにご紹介していきます。
- 実家の売却では、鍵をどう管理すればいいのかが分かる
- 契約前と後で鍵を使う用途やタイミングなどが分かる
- 暗証番号の決め方や、番号を伝える相手の絞り方など、防犯面の工夫
- 立ち会いが必要な場面と、番号を伝えるだけで済む場面の違いが分かる
- 遠方に住んでいても、鍵の管理を最後まで安心して任せられる仕組み
(不用品処分の具体的な流れについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています)
自己紹介
元ホテルマンで、現在は石川県を中心に不動産業を営んでいる代表の小川です。

私自身、埼玉県の実家を、石川県に住みながら売却した経験があります。遠方からの実家売却がどれほど大変か、身をもって知ったからこそ、同じ状況にある方の力になりたいという思いで、日々の業務にあたっています。
このブログでは、実際の現場でのリアルなエピソードを通じて、遠方から実家売却を考えていらっしゃる方に、少しでもヒントをお届けできればと思っています。
まず、鍵が関わる工程を整理する

「鍵をどうするか」を考える前に、実家の売却がどのような工程で進んでいくのか、ここでは、引渡し条件を「更地渡し」と仮定します。
実家の売却は、不動産会社に依頼したら、すぐに契約、引渡しに進むわけではありません。実際には、いくつかの工程で経て進んでいきます。大まかに整理すると、次のような流れになります。
- 査定:不動産会社が現地を確認し、価格を提示する
- 鍵の受け渡し:現地に行けない売主様に代わって、不動産会社が鍵を管理できる状態にする
- 内覧対応:購入希望者が現地を見に来る(他の不動産会社が案内するケースもあります)
- 解体:更地渡しの場合、荷物の処分・解体工事が入る
- 引き渡し:すべての工程を終え、買主様へ物件を引き渡す
こうして並べてみると、実は「鍵」は一度渡せば終わりではなく、査定・内覧・解体という、複数の工程すべてに関わってくることが分かります。査定のときに一度、内覧のたびに何度も、解体の立ち会いや検査でも、鍵を使う場面は、これから思っている以上に出てくるのです。
そのたびに現地へ帰るのも、そのたびに鍵を郵送するのも、現実的ではありません。だからこそ、「鍵をどう管理するか」を、知っておき、不動産会社を選ぶ条件を決めておくことで、後々の安心につながります。
不動産実務での管理方法

まず、不動産の実務として、鍵を一般的にどう管理しているのか、その仕組みからご紹介します。
実家が遠方にある場合、鍵をそのつど郵送したり、売主様に現地へ来ていただいたりするのは、現実的ではありません。査定、内覧、業者対応など、鍵が必要になる場面はこれから何度も出てきます。そのすべてに対応しようとすると、時間的にも金銭的にも大きな負担になってしまいます。
そこで一般的に使われているのが、「キーボックス」という仕組みです。ダイヤル式の暗証番号を設定できる、南京錠のような形をした箱を現地に設置し、その中に鍵を入れておきます。関係者には、鍵そのものを渡すのではなく、この暗証番号だけを伝えます。番号を知っている人は、売主様の立ち会いがなくても、現地で鍵を取り出し、家に入ることができます。
これは特別な方法ではなく、不動産業界では広く使われている、一般的な管理方法です。急な業者対応が必要になった際にも、そのつど立ち会わなくて済むよう、あらかじめこうした仕組みを整えておくのです。
もちろん、番号を知っていれば誰でも入れてしまう、というわけではありません。番号を伝える相手は、不動産会社や解体業者、内覧を案内する不動産会社など、必要な人だけに絞ります。無関係な人に番号が漏れないよう、伝える範囲は慎重に管理します。
この方法のポイントは、「鍵を貸す」のではなく「番号を伝える」という発想に切り替えることです。鍵そのものを人から人へ受け渡す必要がなくなるため、受け渡しの手間や、途中で紛失してしまうリスクそのものを減らすことができます。
また、一度キーボックスを設置すれば、内覧や検査が終わったあとも、そのまま現地に残しておきます。次に業者や関係者が訪れる際、また新たに鍵を用意する必要はなく、すぐに対応できる状態を保っておけるのです。
解体・更地渡しでのリアルな使われ方

では、実際の売却の場面で、鍵はどのタイミングで必要になるのでしょうか。契約前と契約後、それぞれで振り返ってみます。
契約前
契約がまとまるまでの間にも、実はすでに何度も鍵を使う場面があります。
まず、査定です。不動産会社が価格を出すためには、実際に現地を見せていただく必要があります。次に、販売図面や広告用の写真撮影です。ポータルサイトなどに掲載する物件写真を撮るために、担当者が現地に入ります。
契約に向けて話が進むと、購入希望者の内覧対応も発生します。興味を持ってくださった方に、実際に家の中を見ていただく場面です。このとき、必ずしも私たちが案内するとは限らず、他の不動産会社が案内することもあります。
さらに、更地渡しを検討している場合は、解体費用や不用品処分費用の見積りを出すための下見でも、業者が現地を確認します。
そして、意外と見落とされがちなのが、定期的な窓の開け閉めです。空き家の状態が続くと、湿気がこもり、家の傷みが進みやすくなります。売却活動をしている間も、こうした地味な管理を続けておくことが、家の状態を保つうえで欠かせません。
契約後
契約が成立したあとも、鍵が必要になる場面は続きます。
まず、契約後に改めて行う、正式な見積りのための再確認です。契約前の見積りとは別に、より詳細な確認が必要になることがあります。次に、不用品処分の作業当日、そして作業後の室内確認です。
更地渡しの場合は、解体準備として、アスベストの有無を確認する検査や、解体業者の現場責任者による下見が入ります。そして、いよいよ解体工事が始まる当日にも、業者が現地に入るための対応が必要になります。
こうして振り返ってみると、契約前・契約後を通じて、鍵が必要になる場面は本当に何度も発生していることが分かります。そして最終的には、解体業者にキーボックスの番号をお伝えするところまでが、この一連の「鍵の実務」のゴールとなります。
弊社の対応方法:鍵の取扱い方

こうした一連の場面で、私たちが実際にどのように鍵を取り扱っているか、具体的にご紹介します。
媒介契約を結んだあと、まず現地に鍵、正確にはキーボックスを設置します。設置した際には、その様子を写真で撮影し、記録として残します。そして、いつ・どこに設置したかを、書類にまとめて売主様にご報告しています。「渡した」「設置した」で終わらせず、必ず形に残してお伝えすることを大切にしています。
設置場所にも配慮しています。外から見て、すぐには分からない場所を選びますが、業者には場所をお伝えすれば迷わず見つけられるようにしています。誰の目にも留まりやすい場所に置いてしまうと、防犯上のリスクが高まってしまうためです。
暗証番号の決め方にも工夫があります。売主様に関連した、覚えやすい数字に設定するようにしています。こうすることで、売主様自身も「自分の番号」として把握しやすく、必要に応じてご確認いただきやすくなります。もちろん、この番号を知る人は、不動産会社や解体業者など、その時々で本当に必要な人だけに絞り、無関係な人には一切お伝えしません。さらに防犯のため、暗証番号は3ヶ月ごとに変更するようにしています。




対応の仕方にも、場面によって違いがあります。解体や不用品処分、測量など、立ち会いが必要な作業については、基本的に私自身が現地で対応します。一方、他の不動産会社が内覧を案内するようなケースでは、番号をお伝えするだけで対応してもらうこともあります。これは不動産業界では珍しいことではなく、一般的な運用です。
そしてどちらのケースであっても、対応が終わった後は、必ず現地を見に行き、鍵がなくなっていないか、何か異変がないかを確認しています。「番号を伝えたら終わり」にせず、その後もきちんと見ている。この姿勢が、遠方にお住まいの売主様にとって、少しでも安心材料になればと考えています。
よくある質問(FAQ)
まとめ
「鍵をどうすればいいのか」という、最初は些細に思える疑問から始まりましたが、実際には査定から解体まで、何度も鍵が必要になる場面があり、そのひとつひとつに、地味だけれど欠かせない対応が積み重なっていることが、お分かりいただけたのではないかと思います。
鍵の受け渡しは、実家の売却という長い工程の中の、ほんの一部です。この後も、内覧対応、解体、そして引き渡しへと、工程は続いていきます。私たちは、その一つひとつを丁寧に代行し、遠方にお住まいの売主様が安心して進められるよう、これからもサポートしてまいります。
「こんな細かいことまで聞いていいのだろうか」と思うようなことでも、気になることがあれば、いつでも気軽にご相談ください。
