【結論】2026年(令和8年)9月発表の基準地価
令和8年(2026年)9月公表の基準地価において、金沢市は住宅地平均+1.9%、商業地平均+4.6%と堅調な上昇を維持しました。しかし、これは中心街や一部の人気エリアが牽引した数字です。金沢市内の実家や空き家売却の現場では、「旧市街地の狭小道路(セットバック要否)」「高低差」「古い空き家の解体・残置物処分費用」といった市内格差・個別要因が手残り額を左右します。公的指標の上昇に惑わされず、遠方からでも客観的な「現在地」を把握することが後悔しない第一歩です。
金沢市、野々市市周辺で、遠方の実家や空き家などの不動産売却・処分や名義変更・相続手続きのサポートをしているイシトチ不動産の小川です。

2026年9月15日、石川県より最新の基準地価(7月1日時点)が公表されました。
金沢市は商業地で+4.6%、住宅地でも+1.9%と、春の地価公示に続いてプラスの上昇を維持しています。
ニュースでこうした数字を見ると、「金沢の実家も高く売れるのでは?」と期待される県外在住の方も多いはずです。しかし、現場で多くの実家処分に携わってきた立場から申し上げると、「中心部の地価上昇と、郊外や旧市街地にある実家が高く売れるかどうかは完全に別問題」です。
この記事では、最新の金沢市地価データを冷静に読み解きながら、遠方にいながら実家や空き家をどう判断すべきか、現場目線で整理してお伝えします。
そもそも「基準地価」とは?地価公示との違い

基準地価(都道府県地価調査)は、毎年7月1日時点の土地価格を都道府県が判定し、9月に公表する公的指標です。毎年3月に国(国土交通省)が発表する「地価公示(1月1日時点)」の半年後を追うデータであり、「春の地価動向が夏以降も続いているか」を確かめる最新の定点観測として機能します。
春に発表された地価公示と、今回9月に発表された基準地価の違いを整理すると以下のとおりです。
| 項目 | 地価公示(春発表) | 基準地価(秋発表) |
| 基準日 | 毎年1月1日時点 | 毎年7月1日時点 |
| 調査主体 | 国土交通省(土地鑑定委員会) | 都道府県(石川県) |
| 公表時期 | 毎年3月中旬〜下旬 | 毎年9月中旬 |
| 役割・性質 | 年始の基準となる標準価格 | 半年後の価格動向(補完・定点観測) |
今回のデータを見ることで、「野々市市周辺の住宅地が、今年後半にかけても安定して上昇しているかどうか」を客観的な数字で確かめることができます。
全国の動向
令和8年(2026年)の基準地価は、全国平均(住宅地・商業地・全用途)で5年連続の上昇となりました。住宅地の全国平均変動率は+1.0%を維持し、大都市圏だけでなく地方圏においても底堅い実需に支えられて地価上昇の基調が定着しています。
国土交通省が発表した「令和8年都道府県地価調査(2026年7月1日時点)」によると、住宅地の全国平均は前年と同じ+1.0%の上昇を記録しました。
- 三大都市圏(東京・大阪・名古屋):平均 +3.2%(東京圏+4.0%、大阪圏+2.3%と上昇幅が拡大)
- 地方圏:4年連続の上昇(地方四市平均+2.9%、その他地域を含めても横ばい〜緩やかなプラス圏)
資材価格や建築コストの高騰が続く中、「交通利便性が高く、住環境が整ったエリアに住みたい」という実需層の動きが、全国的な住宅地地価を力強く支えています。
石川県全体の傾向
令和8年(2026年)の基準地価において、石川県全体の住宅地平均変動率は+0.3%(前年は+0.6%)となり、プラス圏を維持しました。ただし、この数字は「県内全体が一律に緩やかに上がっている」という意味ではなく、金沢市・野々市市など中央部の上昇と、能登エリアの下落による明確な二極化が数字の背景にあります。
- 住宅地(県全体): +0.3%(北陸3県の中で唯一のプラス維持)
- 商業地(県全体): +1.6%(前年に続き堅調な上昇)
県庁所在地の金沢市(住宅地+1.9%)や、そのベッドタウンである野々市市周辺では安定した居住ニーズが続いています。一方で、令和6年能登半島地震の被害を受けた奥能登地域では地価の下落が継続しており、その両者が合算された結果が県全体平均の「+0.3%」という数値です。
だからこそ、石川県内で不動産を所有されている方は、「県全体の平均」ではなく、「金沢市で実際に何が起きているのか」を細かく確認する必要があります。
2026年(令和8年)金沢市の基準地価動向

金沢市の基準地価は、商業地で前年同様に高い伸び(+4.6%)を見せ、住宅地も+1.9%と石川県平均(+0.3%)を大きく上回って推移しています。観光需要や中心部再開発の恩恵を受ける一方、市内エリアによる「二極化」が鮮明になっています。
| 区分 | 令和7年変動率 | 令和8年変動率 | 動向の背景 |
| 金沢市・住宅地 | +2.3% | +1.9% | 中心部近接エリアや利便性の高い平野部での実需が牽引 |
| 金沢市・商業地 | +4.6% | +4.6% | インバウンド観光需要、店舗・ホテル・オフィス需要の好調維持 |
| (参考) 石川県全体 | +0.6% | +0.3% | 奥能登地域の下落を、金沢・野々市等の都市部が相殺 |
(※出典:国土交通省「令和8年都道府県地価調査の概要」よりイシトチ不動産作成)
商業地の大幅な伸び(+4.6%)は、金沢駅周辺や武蔵・香林坊エリアなどにおける店舗・ホテル・マンション需要の競合によるものです。住宅地(+1.9%)も安定していますが、金沢市特有の地形や歴史的背景から、すべての土地が同じように上がっているわけではありません。
※隣接する野々市市の動向について
金沢市のベッドタウンとして全8地点が揃って上昇した野々市市(平均+1.78%)の詳しい分析データは、以下の記事で解説しています。
▶ 【2026年9月最新】野々市市の基準地価は全8地点上昇|「地価上昇=高く売れる」と言わない不動産屋の売却判断基準]
【注意】数字の裏にある「金沢市内の二極化(市内格差)」

「金沢市が上がっている」というニュースだけでは見えてこない、実務現場における3つの格差があります。
1. 「駅近・平野部」と「坂道・山手エリア」の格差
金沢市は犀川・浅野川の河岸段丘や寺町台地、小立野台地など起伏の多い地形です。車通りや除雪がスムーズな平野部や駅徒歩圏では買い手が付きやすい一方、坂道や階段が多いエリア、冬場の除雪が困難な傾斜地では、公的指標とは裏腹に買い手が限られ、価格が伸び悩む傾向があります。
2. 旧市街地に多い「狭小道路(セットバック)」と「接道不良」
「この道は狭い」って思われたことありますか?
中心部に近い歴史ある街並みほど、前面道路の幅が4mに満たないケースが多発します。
家を建て替える際に敷地を道路として後退させる「セットバック」が必要になり、有効面積が減ってしまうため、想定していた坪単価より査定額が下がることが珍しくありません。
3. 古家の解体費用と残置物処分の壁
「実家を解体して更地で売りたい」と考えた場合、現在の建築・解体コスト高騰が直撃します。
木造住宅の解体でも200万〜300万円超、さらに仏壇や家具などの家財撤去(残置物処分)に数十万円がかかります。地価が上がっていても、更地化コストを差し引くと「手元に残る金額」がほとんど残らないケースもあります。
遠方に住む相続人が「後悔しない」ための3つの判断基準
東京や大阪など県外にお住まいで、金沢の実家をどうすべきか迷っている方は、相場の天井を待つのではなく、以下の基準で整理することをおすすめします。
地価のピークより「実家の維持コストと倒壊リスク」
誰も住んでいない金沢の実家を保有し続けると、
- 毎年の固定資産税・都市計画税
- 冬場の屋根雪下ろしや配管水抜き、凍結破損リスク
- 夏場の雑草繁茂や庭木の越境に対する近隣クレーム
- 火災保険・地震保険の負担
といった維持費用が重なり続けます。地価が1〜2%上がるのを待つ間に、管理の手間や維持費で利益が相殺されてしまうことも少なくありません。
税制の特例期限(相続から3年以内)を逃さない
相続した空き家を売却する場合、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円が控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」などがあります。
ただし、「相続発生から3年が経過する日の属する年の12月31日まで」といった明確な期限が存在します。相場を待ちすぎて特例が使えなくなると、手残り額で大きな損をするリスクがあります。
「現状有姿(そのまま)」で手放す選択肢も持つ
必ずしも高い解体費用を払って更地にする必要はありません。多少価格が下がっても、建物をそのまま(現状有姿)で買い取ってくれる実需層や事業者に引き渡す方が、遠方にいながら手出し資金ゼロで早期に肩の荷を下ろせるケースも多々あります。
金沢市の実家・空き家売却に関するよくある質問(FAQ)
基準地価の上昇はエリア全体の平均値を示す指標であり、実際の売却価格や最適な売却時期は「建物の解体・残置物処分の有無」「道路条件」「相続税等の特例期限」「ご家族の事情」によって大きく異なります。
イシトチ不動産では、売却を決めていない段階での状況整理や、遠方にお住まいで現地に行けない方からの机上査定・相談も承っています。
金沢市・野々市市周辺の実家・空き家でお悩みの方へ
- 家族で実家を処分することは決めたけれど、何から手をつけていいか分からない
- 名義変更の手続きから荷物の片付け、売却まで、まとめて面倒を見てほしい
- 遠方に住んでいて現地に行けないため、信頼できる窓口に一本化したい
不動産の処分には、戸籍の収集や遺産分割協議、相続登記、家財の片付けなど、売却の手前に多くのハードルがあります。通常はバラバラになりがちなこれらの手続きを、イシトチ不動産では提携司法書士や専門業者と連携し、「最初の一歩の段取り整理」から「最終的な売却・現金化」まで一気通貫でサポートいたします。
現地立ち会いなしでのご相談や机上査定も承っております。無理な売却営業は一切いたしませんので、まずは現状の困りごとをお聞かせください。
▼「相談」について知りたい方へ
不動産の相談といっても、何を話せばよいのか、どこから始めればよいのか分からない方も多くいらっしゃいます。このページでは、相談内容や流れを分かりやすくご説明しています。
▼監修者

不動産業界で多くの相談や取引に携わる中で、かつてお客様から「担当を変えてほしい」と言われたことがあります。
その出来事をきっかけに、自分がお客様の立場を十分に考えられていなかったことを深く反省しました。
それ以来、すぐに不動産の売却を進めるのではなく、まずはお客様の状況や情報を整理し、何を基準に判断すべきかを一緒に考えることを最優先にしています。
お客様の判断の負担を減らし、納得して選択していただけるようサポートすることが、今の私の役割だと考えていますのでこちらの記事が参考になれば幸いです。
▼ごあいさつ

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【データ出典および免責事項】
本記事で引用・参照している公的データは、国土交通省「令和8年都道府県地価調査の概要」(令和8年9月公表)および石川県発表の地価調査結果をもとに、株式会社イシトチ不動産が編集・作成したものです。公的指標はエリア全体の標準地における価格水準を示すものであり、個別物件の成約価格や査定額を保証するものではありません。実際の売却・活用にあたっては、前面道路や敷地形状などの個別条件に応じた専門家へのご相談をおすすめいたします。




