
ひとつ、聞かせてください。
今、実家を売ることについて、気持ちはどのくらい固まっていますか?
「もう決めた。あとは進めるだけ」
それとも、
「7割は決めている。でも、どこかにまだ引っかかりがある」
後者の方、その「引っかかり」は捨てなくていいと思っています。 手続きを進めながら、その気持ちと折り合いをつけていく。それが、実家売却の実態に近い。
この記事では、具体的な手順と準備を整理しながら、 そういう気持ちの部分にも触れていきます。
この記事はこんな方におすすめ!
- ご実家を相続したものの、どう整理すればいいか分からず悩んでいる方
- 「売るしかない」と頭では理解しているが、心のどこかで寂しさを感じて踏み出せない方
- 他県に住んでいて、遠方からでも実家整理をどう進めてよいか迷っている方
この記事を読むメリット
- 自分だけが悩んでいるわけではないと知り安心感が得られる。
- 信頼できる不動産会社を見極めるための視点が持てる
- 「実家を売ってよかった」と思える体験談から勇気をもらえる
この記事を読めばご自身の気持ちを整理し、前向きな第一歩を踏み出していただけるはずですので、ご参考にして頂ければ幸いです。
※「実家じまい」をサポートしてきた相談重視、地域密着型のイシトチ不動産の記事です。対応エリアは石川県内の不動産になりますが、近隣エリアでも相談可能ですのでお問い合わせ下さい。
執筆者(イシトチ不動産 小川)

石川県・金沢市を中心に不動産の名義変更(相続登記)をサポートしているイシトチ不動産の小川です。
私は、不動産の仕事を始めて間もない頃、お客様から「担当を変えてほしい」と言われたことがあります。
決済の段取りに必死で、事務的な手続きを優先してしまい、何千万円という取引を前に不安を抱えているお客様を、完全に置いてきぼりにしていました。
あの経験から、手続きよりも先に、情報整理をしてお客様の不安を取り除くことが、何よりも先だと気が付きました。
このサイトでは、不動産の名義変更(相続登記)について、お客様自身で情報整理できるような記事を書いています。
情報整理できれば不安もだいぶ無くなります。ぜひ、参考にしていただき、次の一歩を考えてみてください。
準備から売却までの手順と注意

実家の売却は、思っている以上に多くの手続きや調整が必要です。
「何から始めればいいのか分からない」という状態では、時間も労力も無駄になりやすく、不要なトラブルを招くこともあります。
ここでは、実家を売却するための基本的な流れと注意すべきポイントを整理します。
実家を売却する前に、まず確認すべきなのは「故人が遺言書を残しているかどうか」です。遺言書の有無や内容によって、その後の相続手続きや売却の進め方が大きく変わります。
遺言書がある場合
遺言書の内容が明確であれば、それに従って相続・売却の準備を進められます。
公正証書遺言の場合は、公証役場に保管されているため、相続人や代理人が請求すれば内容を確認できます。
この場合、検認手続きは不要で、記載された内容に沿って相続手続きを進めます。
自筆証書遺言の場合は、自宅などで保管されていたままでは使えません。家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。
遺言書がない場合
遺産分割協議を行い、相続人全員の合意を得て相続分を決定します。この協議がまとまらないと売却は進められません。
遺言書内容の表現があいまいだったり、複数の解釈が可能な場合、相続人間で意見が食い違いやすくなります。
結果として話し合いが長引き、売却時期が遅れたり、最悪の場合には家庭裁判所での調停が必要になることもあります。
ポイント
遺言書の有無や内容確認は、売却準備の中でも最初に行うべき重要なステップです。早めに確認しておくことで、相続人間の争いを避け、スムーズに売却まで進められます。
遺言書がない場合や、遺言書に不動産の扱いが明記されていない場合には、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。
この話し合いで決まった内容は、必ず「遺産分割協議書」という書面にまとめ、相続人全員が署名・押印します。
口約束のままだと後に意見が食い違い、売却や登記が進まなくなる恐れがあるため注意が必要です。
主な分割方法
現物分割
土地や建物、預金などをそのまま分ける方法です。
例:長男が実家の土地を相続、次男が預金を相続。
換価分割
不動産などの遺産を売却し、その売却代金を分ける方法です。
例:実家を売却し、その売却益を兄弟で分け合う。
共有分割
特定の財産を相続人で共有する方法です。
例:兄弟で実家を共同名義にして保有。
共有状態だと将来の売却や活用に全員の同意が必要になるため、後々トラブルになることも多く手続きも複雑になるためお勧めしません。
代償分割
特定の相続人が財産を相続し、その分の価値を他の相続人に金銭などで支払う方法です。
例:長男が実家を相続し、次男に相応の金額を支払う。
遺産分割協議で相続人が決まったら、不動産の名義を故人から相続人に変更する「相続登記」を行います。
令和6年4月からは相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に行わないと過料(罰金)が科される可能性があります。
名義変更に必要な主な書類
- 被相続人(故人)の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
- 相続人全員の戸籍謄本・住民票
- 遺産分割協議書(全員の署名押印)
- 不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
- 固定資産評価証明書 など
名義変更にかかる費用
- 登録免許税(固定資産評価額×0.4%が目安)
- 司法書士に依頼する場合の報酬(5万円〜10万円程度が一般的)
- 戸籍などの書類取得 など
登記前に確認しておきたいポイント
- 住宅ローンの残高:残債がある場合は売却代金から完済する必要があります。
- 土地の境界確認:境界が不明確だと、買主が不安を感じ契約が延びることも。確定測量図があると安心です。
実家を売却するためには、名義や権利を不動産会社や買主が確認するための書類が必要です。これらを事前に揃えておくことで、査定や契約をスムーズに進められます。
主な必要書類
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
- 身分証明書・印鑑証明書
- 実印
- 相続の場合は、相続登記完了後の登記簿謄本や遺産分割協議書
書類が揃っても、現地の状態が整っていなければ内覧や契約が進みにくくなります。
以下の準備も併せて行いましょう。
遺品整理
家具・家電・衣類など、生活感のあるものは早めに片付けます。売却後の引き渡し条件に合わせて、残すものと処分するものを決めておきましょう。
仏壇・神棚の引っ越し・処分
宗教的な意味合いがあるため、親族間で相談し、供養やお焚き上げなど適切な方法で移動・処分します。
※高額なリフォームや解体は、売却価格の上昇につながらない場合が多く、費用倒れになることもあります。現状のまま売却する方が、買主の自由度が高く、結果的に成約しやすいケースもあります。
ポイント
売却の準備は「書類」と「現地の片付け」を同時並行で進めると効率的です。
特に相続物件は関係者が多く、判断に時間がかかることがあるため、早めの着手が成功の鍵になります。
実家を売却する際は、まず不動産会社に査定を依頼し信頼できる担当者を選びます。担当者との相性や対応の丁寧さは、売却の成功を左右する大きなポイントです。
1社だけで判断すると、相場とかけ離れた査定額や、一方的な提案に流される可能性があります。最低でも2〜3社に査定を依頼し、「査定額」「販売戦略」「担当者の説明の分かりやすさ」を比較しましょう。
相続と売買の両方に強い会社を選ぶ
不動産業の免許は1つしかなく、その免許で売買や賃貸、不動産開発などができます。相続案件には専門知識が必要のため、過去の相続案件の実績や、相続手続きのサポート体制を確認しましょう。
契約条件を事前に考えておく
専属専任・専任・一般媒介など契約形態の違いを理解しておくと、自分に合った売却方法を選べます。また、現況販売や更地渡し等の売却にあたっての希望なども事前に考えておくことも大切です。
販売活動の進め方
業者を選び販売価格が決定したら内覧対応を行います。
空き家の場合でも、定期的な換気や清掃を行うことで、印象が大きく向上し、成約までの期間が短くなる傾向があります。
契約・引き渡しの注意点
買主が決まったら売買契約を結び、決済と同時に物件を引き渡します。
この際、引き渡し時の現況確認や引き渡し条件は必ず話し合い、契約書に記載しておくことが重要です。
引き渡し後の「聞いていなかった」「こんな状態とは思わなかった」といったトラブルを防ぐことができます。
売却益が出た場合は、翌年の確定申告が必要です。譲渡益が発生した翌年の2月16日から3月15日までに、住民票の住居地を管轄している税務署に確定申告書類を提出しましょう。
「空き家特例」などの税制優遇が使える場合があるため、事前に税理士や不動産会社に確認しましょう。
相続した不動産を売るときの6つの注意点

相続した実家を売却する場合、単に不動産会社に依頼するだけではだめで、事前に押さえておくべき注意点を理解しておくことで、余計な時間や費用の無駄を防げます。
1. 税金・費用を把握しておく
売却には仲介手数料や登記費用のほか、譲渡所得税がかかる場合があります。
相続後に空き家を売却する場合、「空き家特例」によって譲渡所得から最大3,000万円の控除を受けられるケースもあります。
まずは売却益や経費の見込みを計算し、手元に残る金額を把握しておきましょう。
2. 実家を処分するタイミング
相続した不動産を売却する場合、相続開始から3年以内であれば「空き家特例」による譲渡所得控除(最大3,000万円)が適用できるケースがあります。
私が「もっと早く相談してくれれば」と思った場面が、まさにここです。
「そんな特例があるなんて、知らなかった」
悪意があったわけでも、怠けていたわけでもない。 ただ、知らなかっただけで、払う必要がないお金を払うことになった。
情報は、知っている人のところにしか来ません。 だから私は、相談に来てくださった方には必ずこの話をするようにしています。
3. 遠方の実家でも清掃・管理が必要
空き家のまま放置すると、室内の湿気・カビ・害虫被害が進み、内覧時の印象が悪くなります。
定期的な換気・清掃を行い、庭木の手入れや郵便物の処理も忘れないようにしましょう。
管理が難しい場合は、地元の管理サービスの利用がおすすめです。
4. 複数人で相続した場合、全員の同意が必要
共有名義の不動産を売却するには、相続人全員の同意が必要です。
1人でも反対すると売却は進まないため、早めに意思統一を図ることが重要です。
5. 「土地の境界」を確認する
境界が不明確なままだと、買主が不安を感じて契約が延びることがあります。
境界標の有無を確認し、必要に応じて「確定測量図」を作成しておくと安心です。
6. 相続の手続き期限を過ぎないようにする
相続税の申告や相続登記には期限があります。
期限を過ぎると、加算税や過料のリスクが生じるため、売却準備と並行して期限管理を行いましょう。
実家売却は「価格」や「手続き」だけでなく、税金・時期・管理・相続人間の調整など、複数の視点から進めることが成功の鍵です。
これらを事前に押さえておけば、スムーズかつ納得感のある売却が実現できます。
【実例】O様の体験に学ぶ、「納得のいく実家じまい」とは?

大分県に住むO様は、親を看取ったあと、空き家になった実家のことで頭を抱えていました。
「売るしかない」と分かっていながら、思い出が詰まった家をどうするかに踏ん切りがつかない。
兄弟とのやりとりや手続きの煩雑さも重なり、「誰かに相談したいけれど、業者に丸投げするのはちょっと違う…」
そう思いながら、月日だけが過ぎていきました。
突然の決断
そんな時に能登地震が起きました…

そして、大谷石の塀がくずれたのです。
たまたま、実家の敷地に向かって倒れたのでけが人はいませんでしたが、家の中に入ると壁にひびが入っていたりと散々でした。
「もう誰も住まない実家を、このままにはしておけない」
そんな気持ちとともに、寂しさと不安の入り混じった思いを抱えながら行動することに決めたそうです。
不安だらけのスタート…
何から手をつければ?
当初、O様は不動産の知識がほとんどなく、売却という選択肢に戸惑っていたといいます。
しかも、他県に住んでいるため、現地での対応ができないことも大きなストレスだったそうです。
それでも、家族の励ましがあり数件の不動産会社に問い合わせしましたが…
「土地の広さが中途半端で売れないですね」とあっさり断られたり、
「隣地と合わせれば…」と現実味のない提案をされたり、
それだけでなく、
同級生の不動産会社の知り合いには無視、さらには何社にも問い合わせたのに返事すら来なかった…
そんな経験までされていました。
出会いがカギに
知人からのご紹介で、帰省のタイミングに合わせて私のほうからO様の実家に伺いました。
玄関を開けると、誰も住んでいない家特有の、静かな空気がありました。
「帰るたびに気になって。でも、なかなか踏ん切りがつかなくて」
そう話しながら、少し申し訳なさそうな顔をされていました。 一通り査定の話もしましたが、それよりも長い時間、O様の話を聞いていた気がします。 急かすより、まず整理する。そのほうが、いいと思ったのです。
後から聞きましたが、「売るかどうか」ではなく、「情報をどう整理していくか」を一緒に考えてくれるその姿勢に、O様は安心して本音を話すことができたと言ってくださいました。
また、初回の相談では、難しい専門用語を使わず、全体の流れを紙一枚で整理して見せてくれたことで、
「なんだか、やっと道筋が見えた気がしました」
とも語ってくださいました。
さらに、遠方に住むO様に代わって、現地確認や行政手続きなども柔軟にサポート。
もう、ここまでしてもらえるなら、私もきちんと向き合わなきゃと思えたそうです。
まとめ
実家の売却は、手続きや書類の話だけではありません。
「7割は決めている。でも、どこかに引っかかりがある」 そういう気持ちを抱えたまま、それでも前に進もうとしている。 相談に来られる方の多くが、そういう状態です。
引っかかりは、おかしくない。 それだけ、その家があなたにとって大切だったということだから。
ただ、時間だけは待ってくれません。
税制の特例には期限があり、建物は少しずつ傷んでいく。 知らなかっただけで損をする——そういうことが、現場では実際に起きています。

※本記事では、不動産実務や相続に関する一般的な情報をわかりやすくご紹介していますが、税法や制度は改正されることがあり、実際の手続きや税金の取り扱いはケースによって異なります。実際に相続が発生した場合や、具体的な対応をご検討の際は、税理士・司法書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。
金沢市・石川県で不動産の名義変更の情報量NO.1
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