相続した家の名義変更の流れを6ステップでわかりやすく解説

相続登記の相談でご自宅に伺うと、ひと通り説明を終えた後に必ずこう聞かれます。

で、結局、私は何から始めればいいんですか?

6ステップを丁寧にご説明した後でも、こんな質問が出るんです。

最初はなぜだろうと思っていました。でも今はわかります。情報が足りないんじゃない。「自分の状況に当てはめること」がなかったんです。

このページでは、手続きの流れをお伝えする前に、まず一つだけ確認させてください。

あなたは今、どのような状況ですか?

□ 親が亡くなったばかりで、何も手をつけていない →STEP1から順番に
□ 兄弟と話し合いは終わったが、書類の準備がまだ →STEP4(書類集め)
□ 名義変更をしないまま、数年が経ってしまっている →まずSTEP1で相続人を再確認

上から順番に読まなくて大丈夫です。自分の状況に近いところから読んでいただければ、「次に何をすべきか」が見えてきます。

ただ一つだけ、先にお伝えしておきたいことがあります。

2024年4月から、相続登記は義務になりました。

「そのうちやろう」が通じない時代になっています。正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

それより怖いのは、時間が経つほど手続きが複雑になっていくことです。相続人が増える、不動産が売れなくなる。気づいたときには、一人では動けない状態になっていることがあります。

石川県でも、名義変更をしないまま何年も経ってしまったご家庭からのご相談が、後を絶ちません。「知らなかった」では済まされない時代に、私たちは生きています。

まず、全体の流れを一緒に確認していきましょう。

執筆者(イシトチ不動産 小川)

石川県・金沢市を中心に不動産の名義変更(相続登記)をサポートしているイシトチ不動産の小川です。

私は、不動産の仕事を始めて間もない頃、お客様から「担当を変えてほしい」と言われたことがあります。

決済の段取りに必死で、事務的な手続きを優先してしまい、何千万円という取引を前に不安を抱えているお客様を、完全に置いてきぼりにしていました。

あの経験から、手続きよりも先に、情報整理をしてお客様の不安を取り除くことが、何よりも先だと気が付きました。

このサイトでは、不動産の名義変更(相続登記)について、お客様自身で情報整理できるような記事を書いています。

情報整理できれば不安もだいぶ無くなります。ぜひ、参考にしていただき、次の一歩を考えてみてください。

目次

STEP1 相続人を確認する

STEP1 相続人を確認する

名義変更(相続登記)を進めるにあたって、まず最初にやることは「誰が相続人なのか」を確認することです。

相続人の範囲は民法で決まっており、順位も明確に定められています。

相続人の順位

第一順位は被相続人(亡くなった方)の子どもです。養子も含まれます。子どもがすでに亡くなっている場合は、その子ども(孫)が代わりに相続人になります。これを代襲相続といいます。

第二順位は被相続人の両親です。子どもがいない場合に相続人になります。両親がすでに亡くなっている場合は祖父母が相続人になります。

第三順位は被相続人の兄弟姉妹です。子どもも両親もいない場合に相続人になります。兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子ども(甥・姪)が代わりに相続人になります。

配偶者(夫・妻)は常に相続人になります。上記の順位とは関係なく、必ず相続人に含まれます。

注意が必要なケース

相続人の確認は、遺産分割協議や名義変更の手続きに必要なため、漏れがないよう注意が必要です。特に以下のケースは見落としやすいため注意してください。

  • 被相続人に認知した子どもがいる場合は、その子どもも相続人になります。
  • 前の結婚で子どもがいる場合も、その子どもは相続人になります。
  • 養子縁組をしている場合は、養子も実子と同じく相続人になります。

相続人を確認する方法

相続人を正確に確認するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式を取得する必要があります。戸籍謄本を取得することで、法律上の相続人を漏れなく把握することができます。

戸籍謄本は本籍地の市区町村役所で取得できます。2024年3月から広域交付制度が始まり、全国どこの役所でも取得できるようになりました。

相続人の確認が終わったら、次のステップに進みましょう。

STEP2 不動産を確認する

STEP2 不動産を確認する

相続人の確認が終わったら、次は「どんな不動産を相続するのか」を確認します。

不動産の名義変更(相続登記)を進めるためには、相続する不動産の詳細を正確に把握しておくことが必要です。

相続財産の種類

相続対象となる財産は、大きく分けてプラスの財産とマイナスの財産に分けられます。

  • プラスの財産:現金、不動産、株式、預貯金など
  • マイナスの財産:借金、住宅ローン、未払いの税金など

相続ではこれらをすべて合算した「正味の財産」を基に手続きを進めます。

不動産を確認する方法

相続する不動産を確認するためには以下の方法があります。

  • 登記簿謄本(登記事項証明書)を取得

法務局またはオンラインで登記簿謄本を取得することで、不動産の所在地・地番・面積・所有者などの詳細を確認できます。

  • 固定資産税の納税通知書を確認

毎年4月から6月頃に届く固定資産税の納税通知書には、所有する不動産の一覧が記載されています。まずここから確認するのが簡単です。

  • 所有不動産記録証明制度を活用

2026年2月から「所有不動産記録証明制度」が始まりました。この制度を利用すると、全国の法務局で亡くなった方が所有していた不動産の一覧を証明書として取得できます。不動産の漏れを防ぐために非常に役立ちます。

  • 不動産の評価額を確認

名義変更の手続きには登録免許税の計算が必要です。登録免許税は固定資産税評価額をもとに計算します。固定資産税評価額は固定資産税の納税通知書または固定資産評価証明書で確認できます。

特に注意が必要なケース

不動産は評価方法が複雑なため、専門家に相談することをおすすめします。

特に以下のケースは注意が必要です。

祖父・祖母の代から名義変更をしていない不動産がある場合は、複数の相続が絡み合って手続きが複雑になることがあります。複数の不動産を所有している場合は、すべての不動産について名義変更が必要です。漏れがないよう確認しましょう。

農地や山林など特殊な不動産がある場合は、通常の不動産とは異なる手続きが必要になることがあります。

不動産の確認が終わったら、次のステップに進みましょう。

STEP3 遺産分割協議をする

STEP3 遺産分割協議をする

不動産の確認が終わったら、次は相続人全員で「誰が何を相続するか」を話し合います。これを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、相続人全員で話し合い、遺産をどのように分配するかを決める手続きです。一般的には、不動産は誰が引き継ぐのか、預金などの財産をどう分けるかなどを相続人全員で決めます。

遺産分割協議は相続人全員が参加する必要があります。一人でも欠けると協議が成立しないため、相続人の確認を事前にしっかり行うことが大切です。

遺産分割協議書の作成

話し合いの結果は「遺産分割協議書」にまとめます。遺産分割協議書には以下の内容を記載します。相続人全員の氏名・住所、誰がどの財産を取得するか、相続人全員の署名と実印の押印が必要です。

遺産分割協議書は名義変更(相続登記)の申請に必要な書類です。内容に不備があると手続きが止まることがあるため、司法書士に作成を依頼することをおすすめします。

遺産分割協議を進める上での注意点

相続税の申告期限は相続を知った日から10ヶ月以内です。申告期限を見据えながら早めに話をまとめるのが理想です。

特に以下のケースは注意が必要です。

  • 相続人の中に連絡が取れない方がいる場合は、住民票や戸籍の附票で現在の住所を調べる必要があります。
  • 相続人の中に未成年者がいる場合は、親権者または特別代理人が代わりに協議に参加します。
  • 相続人の中に認知症の方がいる場合は、成年後見人を選任する必要があります。

相続人が多数いる場合や、遠方に住んでいる相続人がいる場合は、郵送で署名・押印をやりとりすることも可能です。

遺言書がある場合は遺産分割協議が不要になることも

亡くなった方が遺言書を残していた場合は、原則として遺言書の内容に従って遺産を分配します。この場合、遺産分割協議書の作成が不要になることがあります。

ただし遺言書の内容に不備がある場合や、相続人全員が遺言書と異なる分割方法に合意した場合は、改めて遺産分割協議を行うことがあります。

遺産分割協議が終わったら、次のステップに進みましょう。

STEP4 書類を集める

STEP4 書類を集める

遺産分割協議が終わったら、次は名義変更(相続登記)に必要な書類を集めます。

ここでは最も一般的な「遺産分割協議(話し合い)」で名義人を決めるケースで必要な書類を整理します。

亡くなった方(被相続人)に関する書類

  • 戸籍謄本一式
  • 住民票の除票

出生から死亡までの戸籍謄本一式が必要です。亡くなった方の全ての戸籍謄本を取得することで、法律上の相続人を漏れなく確認できます。複数の市区町村にまたがることが多いため、早めに収集を始めることをおすすめします。

住民票の除票(または戸籍の附票)も必要です。亡くなった方の最後の住所を証明するための書類です。登記簿上の住所と戸籍の本籍地を結びつけるために必要です。

相続人全員に関する書類

  • 戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書

相続人全員の戸籍謄本が必要です。法定相続人を確認するために、相続人全員分の戸籍謄本を用意します。

遺産分割協議書も必要です。相続人全員が署名・実印を押印したものを用意します。

相続人全員の印鑑証明書も必要です。遺産分割協議書に押印した実印が本物であることを証明するために必要です。発行から3ヶ月以内のものが有効とされる場合があります。

新しく名義人になる人(取得者)に関する書類

  • 住民票
  • 不動産に関する書類

不動産を取得する方の住民票が必要です。名義変更後の登記簿に記載される住所を確認するために必要です。

また、不動産に関する書類として固定資産評価証明書(最新年度のもの)が必要です。登録免許税の計算に使用します。市区町村の役所で取得できます。毎年4月1日以降に最新年度のものが取得できるようになります。

効率よく集めるためのアドバイス

下記の制度を活用すると効率的に行動できます。

  • 法定相続情報一覧図
  • 所有不動産記録証明
  • 広域交付制度
  • 法定相続情報一覧図

法定相続情報一覧図とは、相続人の関係を一覧にした図のことです。法務局に申出をして認証を受けることで、複数の手続きで戸籍謄本の代わりに使用できます。

銀行の相続手続きや不動産の名義変更など、複数の手続きを同時に進める場合に非常に便利です。一度作成しておくと、戸籍謄本を何度も取得する手間が省けます。

また、2026年2月から始まった所有不動産記録証明制度を利用すると、全国の法務局で亡くなった方が所有していた不動産の一覧を証明書として取得できます。

不動産の漏れを防ぐために、書類集めを始める前にまずこの制度を活用して不動産の全体像を把握しておくことをおすすめします。

2024年3月から始まった広域交付制度を利用すると、本籍地に関わらず全国どこの市区町村の窓口でも戸籍謄本を取得できます。お住まいの近くの役所で一括して取得できるため、戸籍集めの負担が大幅に軽減されます。

最後に、書類の収集は時間がかかることが多いため、早めに準備を始めることが大切です。どの書類が必要かわからない場合や、収集が難しい場合はお気軽にご相談ください。

STEP5 法務局に申請する

STEP5 法務局に申請する

書類が揃ったら、いよいよ法務局に申請します。

申請の流れは大きく3つのステップです。登記申請書の作成、登録免許税の納付、法務局への書類提出の順番で進めます。

登記申請書を作成

法務局所定の登記申請書を作成します。申請書には以下の内容を記載します。

登記の目的(相続)、原因(相続発生日)、相続人の氏名・住所、取得する不動産の情報、登録免許税の金額などを記載します。

記載内容に誤りがあると法務局から補正を求められることがあります。はじめて手続きをする方は司法書士に依頼することをおすすめします。

②登録免許税を納付

登録免許税は固定資産税評価額×0.4%で計算します。

たとえば固定資産税評価額が1,000万円の場合、登録免許税は4万円になります。

納付方法は収入印紙を申請書に貼り付けて納付します。オンライン申請の場合は電子納付も可能です。収入印紙は法務局内または郵便局で購入できます。

法務局へ書類を提出

申請書と必要書類をまとめて、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。提出方法は3つあります。

窓口提出は法務局に直接持参する方法です。その場で内容を確認してもらえるため、不備があればすぐに対応できます。

郵送は必要書類を書留で郵送する方法です。遠方の方や窓口に行けない方に便利です。

オンライン申請は法務局のオンラインシステムを使って申請する方法です。電子署名が必要なため、事前に準備が必要です。

申請時のポイント

「登記相談」を予約する

法務局では事前に登記相談を予約することができます。申請書の書き方や必要書類について相談できるため、はじめて手続きをする方は活用することをおすすめします。ただし登記相談はあくまでも手続きの案内であり、具体的なアドバイスは専門家(司法書士)に相談することをおすすめします。

「原本還付」の手続きを忘れずに

戸籍謄本などの書類は原本を提出する必要がありますが、「原本還付」の手続きをすることで提出後に原本を返してもらうことができます。銀行の相続手続きなど他の手続きでも同じ書類を使う場合は、原本還付の手続きを忘れずに行いましょう。

コピーを用意して「原本と相違ない」と記載し、申請者が署名・押印することで原本還付の手続きができます。

「補正印」を用意する

申請書の内容に軽微な誤りがあった場合、法務局から補正を求められることがあります。補正の際には申請書に押印した印鑑(補正印)が必要になることがあります。申請時に使用した印鑑を手元に用意しておきましょう。

書類の提出が完了したら、次のステップに進みましょう。

STEP6 完了・登記識別情報を受け取る

STEP6 完了・登記識別情報を受け取る

法務局への申請が完了すると、審査が行われます。審査には通常10日から14日程度かかります。混雑している時期はさらに時間がかかることがあります。

審査が完了すると、以下の2つの書類が交付されます。

登記完了証

登記完了証とは、名義変更(相続登記)の手続きが完了したことを証明する書類です。登記が正式に完了したことを確認するための書類ですが、不動産の権利そのものを証明するものではありません。

登記識別情報

登記識別情報とは、不動産の新しい所有者であることを証明する12桁の英数字コードです。いわゆる「権利証」に相当するものです。

この情報は不動産を売却したり、担保に設定したりする際に必要になります。一度しか発行されないため、大切に保管してください。

どうやって受け取るのか

受け取り方法は申請方法によって異なります。

窓口申請の場合は法務局の窓口で直接受け取ります。また、郵送申請の場合は申請時に返信用封筒を同封しておくことで郵送で受け取ることができます。

オンライン申請の場合はオンラインで受け取るか、法務局の窓口で受け取るかを選択できます。

申請から完了までの期間の目安は以下のとおりです。

書類収集・作成に2週間から1ヶ月程度かかります。法務局の審査に10日から14日程度かかります。全体では早くて1ヶ月、書類収集に手間取る場合は2ヶ月以上かかることもあります。

管理の注意点

登記識別情報は絶対に紛失しないようにしてください。一度しか発行されないため、紛失した場合は不動産取引の際に別途手続きが必要になります。

登記識別情報は12桁のコードが記載された書類です。シールで隠されている場合はむやみに剥がさないようにしましょう。コードが第三者に知られると不正利用されるリスクがあります。

登記完了証と登記識別情報は一緒に保管することをおすすめします。不動産に関する書類(売買契約書・固定資産税の納税通知書など)と一緒にまとめて保管しておくと管理しやすいです。

名義変更が完了したら、不動産を売却する・賃貸に出す・担保に設定するなど、正式に自分の名義として活用できるようになります。手続きが完了した後もわからないことがあればお気軽にご相談ください。

まとめ

6つのステップを読んでみて、いかがでしたか?

「思ったより複雑だな」と感じた方もいるかもしれません。それが普通です。相続の手続きは、慣れていない人が一人でやるには、正直、重たい作業です。

でも、全部を一気にやろうとしなくていいんです。

最初の一歩は、「自分が相続人かどうか」を確認することだけ。それだけでいい。戸籍謄本を一枚取りに行くことから、すべては始まります。

名義変更を放置すると 売却できない・過料が科されるなど 深刻なリスクがあります。 まず基本を確認しておきましょう。

ごあいさつ

私たちは金沢市、石川県エリアを中心に不動産の名義変更をサポートとしている不動産会社です。

もともと親族や知人から相談を受けることが始まりで、「相談して良かった」と喜ばれるうちに、もっと多くの方に安心を届けたいと考え、事業として本格的にスタートしました。

元ホテルマンの代表が身内や知人を大事にするように、お客様一人ひとりの状況を整理しながら不動産の名義変更(相続登記)を丁寧にサポートしています。

お気軽にご相談ください。

代表 小川

※本記事では、不動産実務や相続に関する一般的な情報をわかりやすくご紹介していますが、税法や制度は改正されることがあり、実際の手続きや税金の取り扱いはケースによって異なります。実際に相続が発生した場合や、具体的な対応をご検討の際は、税理士・司法書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。

 金沢市・石川県で不動産の名義変更の情報量NO.1
 株式会社イシトチ不動産
 TEL:076-205-3940
 営業時間:9:00~18:00 
 ※不定休、面談予約制

※本記事では、不動産実務や相続に関する一般的な情報をわかりやすくご紹介していますが、税法や制度は改正されることがあり、実際の手続きや税金の取り扱いはケースによって異なります。実際に相続が発生した場合や、具体的な対応をご検討の際は、税理士・司法書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。

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