
書類を集める前に、まず一つだけ確認してほしいことがあります。
「相続登記 必要書類」で検索すると、どのサイトにも10種類以上の書類リストが出てきます。戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、固定資産評価証明書…。見るだけで気が重くなる方も多いのではないでしょうか。
でも私がお客様とお話するとき、最初に書類の話はしません。
まず確認することは、たった一つです。
遺言書はありましたか?
この答えによって、必要な書類がまるごと変わります。遺言書の有無がわかれば、あなたに本当に必要な書類だけに絞って準備できます。
この記事では、あなたの状況に合った書類だけを確認できるよう、ケース別に整理しました。まず下のABCから自分のタイプを確認してください。
Aタイプ:遺言書がある方
遺言書の種類を確認してください。公正証書遺言か、自筆証書遺言かによって手続きが変わります。自筆証書遺言の場合は、法務局に保管されているかどうかも確認しておきましょう。書類の準備はそれからです。
Bタイプ:遺言書がなく、相続人全員で話し合う方
最も一般的なケースです。まず相続人が何人いるかを確認してください。相続人の人数によって、集める書類の数と手続きの複雑さが変わります。兄弟姉妹がいる場合は早めに連絡を取り合っておくとスムーズです。
Cタイプ:「遺言書があるかどうかもわからない」方
実は、このタイプの方が一番多いです。遺言書の有無がわからないまま書類を集めようとすると、後から準備し直すことになる場合もあります。まずそこから一緒に確認しましょう。ご連絡ください。
執筆者(イシトチ不動産 小川)

石川県・金沢市を中心に不動産の名義変更(相続登記)をサポートしているイシトチ不動産の小川です。
私は、不動産の仕事を始めて間もない頃、お客様から「担当を変えてほしい」と言われたことがあります。
決済の段取りに必死で、事務的な手続きを優先してしまい、何千万円という取引を前に不安を抱えているお客様を、完全に置いてきぼりにしていました。
あの経験から、手続きよりも先に、情報整理をしてお客様の不安を取り除くことが、何よりも先だと気が付きました。
このサイトでは、不動産の名義変更(相続登記)について、お客様自身で情報整理できるような記事を書いています。
情報整理できれば不安もだいぶ無くなります。ぜひ、参考にしていただき、次の一歩を考えてみてください。
そもそも相続登記とは?

相続登記とは、亡くなった方(被相続人)が所有していた不動産の名義を、相続人へ変更する手続きのことです。一般的には「不動産の名義変更」とも呼ばれています。
たとえば父親が亡くなって実家を相続した場合、登記簿上の所有者はまだ亡くなった父親のままになっています。この登記簿上の所有者を亡くなった父親から相続した自分に変更する手続きが相続登記です。
2024年4月から義務化されました
これまで相続登記は任意の手続きでしたが、2024年4月1日から法律上の義務になりました。相続を知った日から3年以内に手続きをしない場合、正当な理由がなければ10万円以下の過料が科される可能性があります。
2024年4月1日より前に相続した不動産についても義務化の対象です。その場合は2027年3月31日までに手続きをすれば過料の対象になりません。
相続登記をしないと何が起きる?
相続登記をしないまま放置すると以下のような問題が起きます。
不動産を売却することができません。銀行融資の担保として使うこともできません。名義変更をしないまま二次相続が発生すると手続きが複雑になります。また過料が科される可能性もあります。
相続登記は法務局に申請する手続きです。自分で申請することも可能ですが、必要書類の収集や申請書の作成など複数の手続きが必要なため、司法書士に依頼するケースが多くあります。
名義変更を放置すると 売却できない・過料が科されるなど 深刻なリスクがあります。 まず基本を確認しておきましょう。

相続登記の必要書類は

相続登記に必要な書類は、遺産をどのように分けるかによって異なります。
大きく分けると以下の3つのケースがあります。
1つ目は遺産分割協議で決める場合です。相続人全員で話し合い、誰が不動産を取得するかを決めるケースです。最も一般的なケースです。
2つ目は遺言書がある場合です。亡くなった方が遺言書を残していて、その内容に従って相続するケースです。
3つ目は法定相続分で相続する場合です。話し合いをせず、民法で定められた割合のとおりに相続するケースです。
どのケースでも共通して必要な書類がある一方で、ケースごとに追加で必要な書類があります。まずは共通して必要な書類を確認してから、ご自身の状況に合ったケースの追加書類を確認しましょう。
自分がどのケースに当てはまるかわからない場合は、お気軽にご相談ください。
どの場合でも共通して必要な書類

相続のケースに関わらず、必ず必要になる書類は以下の7種類です。一つでも欠けると申請が受理されないため、漏れなく準備しましょう。
被相続人の戸籍謄本一式
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本一式が必要です。相続人が誰なのかを確認するために使います。
戸籍は結婚・離婚・転籍・養子縁組などのたびに新しく作られるため、複数の市区町村にまたがることが多く、収集に時間がかかる場合があります。早めに準備を始めることをおすすめします。
取得場所は被相続人の本籍地の市区町村役場です。2024年3月から始まった広域交付制度を利用すると、全国どこの役場でも取得できます。取得費用は戸籍謄本1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本1通750円です。
先日ご相談にいらした方は、お父様が若い頃に一度転籍されていて、明治時代の戸籍まで遡る必要がありました。手書きで達筆すぎて読めない文字があり、役所の窓口で担当の方と一緒に首をかしげながら確認したそうです。「まさか明治の戸籍まで出てくるとは思わなかった」と、少し驚いた顔でおっしゃっていました。
戸籍謄本の収集は、単なる「書類集め」ではありません。その方の家族の歴史を、一枚一枚辿っていく作業でもあります。時間がかかるのは当然で、それだけ濃い人生が詰まっているからだと私は思っています。
被相続人の住民票の除票
登記簿上の被相続人の住所と、戸籍上の被相続人が同一人物であることを証明するために必要な書類です。亡くなった方の最後の住所が記載されています。
取得場所は被相続人が最後に住んでいた市区町村役場です。取得費用は1通200円から400円程度です。
なお被相続人の住所が登記簿上の住所と異なる場合は、住所の変遷を証明するために複数の書類が必要になることがあります。
相続人全員の戸籍謄本
相続人が生存していることを確認するために必要な書類です。被相続人の戸籍謄本とは異なり、現在の戸籍謄本だけで問題ありません。
取得場所は各相続人の本籍地の市区町村役場です。広域交付制度を利用すると最寄りの役場で取得できます。取得費用は1通450円です。
不動産を取得する人の住民票
名義変更後の登記簿に記載される住所を確認するために必要な書類です。不動産を取得する相続人の現在の住所が記載されたものが必要です。
取得場所は不動産を取得する相続人の住所地の市区町村役場です。
取得費用は1通200円から400円程度です。
固定資産評価証明書
登録免許税の計算に使用する書類です。相続する不動産の固定資産税評価額が記載されています。最新年度のものが必要です。
取得場所は不動産の所在地の市区町村役場です。毎年4月1日以降に最新年度のものが取得できるようになります。取得費用は1通400円程度です。
なお、毎年4月から6月頃に届く固定資産税の納税通知書でも評価額を確認できます。
登記事項証明書(登記簿謄本)
相続する不動産の詳細情報を確認するために必要な書類です。不動産の所在地・地番・面積・所有者などが記載されています。古い証明書がある場合でも、必ず最新のものを取得してください。
取得場所は全国の法務局またはオンラインで取得できます。
取得費用は窓口で600円、オンライン請求で480円から500円です。
登記申請書
法務局に相続登記を申請するための書類です。不動産の情報や相続人の情報を記載します。
取得場所は法務局の窓口または法務局のホームページからダウンロードできます。費用はかかりません。
記載内容に誤りがあると補正を求められることがあります。書き方に不安がある場合は司法書士に依頼することをおすすめします。
ケース別の追加書類

共通書類に加えて、相続のケースによって以下の書類が追加で必要になります。ご自身の状況に合ったケースを確認してください。
遺産分割協議で決める場合
相続人全員で話し合い、誰が不動産を取得するかを決めるケースです。最も一般的な相続のパターンです。
共通書類に加えて以下の2つが必要です。
遺産分割協議書は相続人全員で話し合った結果をまとめた書類です。誰がどの財産を取得するかを明記します。相続人全員が署名・実印を押印する必要があります。書式に決まりはありませんが、内容に不備があると手続きが止まることがあるため、司法書士に作成を依頼することをおすすめします。
相続人全員の印鑑証明書は遺産分割協議書に押印した実印が本物であることを証明するために必要です。発行から3ヶ月以内のものが有効とされる場合があります。取得場所は各相続人の住所地の市区町村役場です。取得費用は1通200円から400円程度です。
遺言書がある場合
亡くなった方が遺言書を残していて、その内容に従って相続するケースです。遺言書がある場合は遺産分割協議書と印鑑証明書が不要になります。
共通書類に加えて以下が必要です。
遺言書(原本)は遺言書の種類によって手続きが異なります。公正証書遺言の場合はそのまま使用できます。検認手続きは不要です。
自筆証書遺言のうち法務局に保管されているものについては検認不要です。法務局から遺言書情報証明書を取得して提出します。
自筆証書遺言のうち法務局に保管されていないものについては家庭裁判所での検認手続きが必要になります。検認済みの遺言書を提出します。
なお遺言書で相続人以外の方に財産を遺す場合(遺贈)は、遺言執行者の印鑑証明書など追加書類が必要になることがあります。
法定相続分で相続する場合
話し合いをせず、民法で定められた割合のとおりに相続するケースです。遺産分割協議書と印鑑証明書が不要なため、3つのケースの中で必要書類が最も少ないパターンです。
このケースでは共通書類だけで申請できます。ただし不動産を複数の相続人で共有することになるため、後から売却や活用をする際に全員の同意が必要になります。将来的なトラブルを避けるためにも、できれば遺産分割協議を行うことをおすすめします。
どのケースに当てはまるか判断が難しい場合や、書類の準備に不安がある場合はお気軽にご相談ください。
書類の取得方法と費用

相続登記に必要な書類は、役所と法務局の2か所で取得します。それぞれの取得方法と費用を確認しておきましょう。
役所で取得するもの
市区町村役場で取得できる書類と費用の目安は以下のとおりです。
戸籍謄本は1通450円です。被相続人の本籍地または広域交付制度を利用して最寄りの役場で取得できます。除籍謄本・改製原戸籍謄本は1通750円です。同様に本籍地または最寄りの役場で取得できます。
住民票の除票(被相続人)は1通200円から400円程度です。被相続人が最後に住んでいた市区町村役場で取得します。
相続人全員の戸籍謄本は1通450円です。各相続人の本籍地または最寄りの役場で取得できます。不動産を取得する人の住民票は1通200円から400円程度です。不動産を取得する相続人の住所地の役場で取得します。
固定資産評価証明書は1通400円程度です。不動産の所在地の市区町村役場で取得します。毎年4月1日以降に最新年度のものが取得できます。
印鑑証明書は1通200円から400円程度です。各相続人の住所地の役場で取得します。
書類取得費用の合計は一般的に1万円から3万円程度になることが多いです。相続人の人数や家族構成によって変わります。
法務局で取得するもの
法務局で取得できる書類と費用は以下のとおりです。
登記事項証明書(登記簿謄本)は窓口で600円、オンライン請求で480円から500円です。全国どこの法務局でも取得できます。オンラインでも申請できるため、窓口に行けない場合でも取得できます。
登記申請書は法務局の窓口またはホームページからダウンロードできます。費用はかかりません。
広域交付制度を活用する
2024年3月から「広域交付制度」が始まりました。これまで戸籍謄本は本籍地の役場でしか取得できませんでしたが、この制度により全国どこの役場でも戸籍謄本を取得できるようになりました。
たとえば被相続人の本籍地が東京でも、石川県内の最寄りの役場で取得することができます。複数の市区町村にまたがる戸籍謄本も一か所でまとめて取得できるため、手間と費用を大幅に節約できます。
ただし以下の点に注意が必要です。
郵送での請求には対応していないため、窓口に直接出向く必要があります。兄弟姉妹の戸籍は広域交付制度で取得できません。本籍地の役場に直接請求する必要があります。コンピュータ化されていない一部の戸籍は広域交付の対象外となる場合があります。
書類の収集は時間がかかることが多いため、早めに準備を始めることをおすすめします。どこで何を取得すればいいかわからない場合はお気軽にご相談ください。
書類収集のポイントと注意点

相続登記の手続きをスムーズに進めるために、書類収集で知っておくべきポイントと注意点をまとめました。
戸籍謄本は時間がかかる
相続登記の書類収集の中で最も時間がかかるのが戸籍謄本の収集です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本は、結婚・離婚・転籍・養子縁組などのたびに新しく作られるため、複数の市区町村にまたがることがあります。それぞれの役場に請求する必要があるため、収集に2週間から1ヶ月程度かかることも珍しくありません。
特に以下のケースは時間がかかる傾向があります。
被相続人が複数回転籍している場合は、それぞれの本籍地の役場に請求が必要です。古い戸籍(明治・大正時代のもの)が必要な場合は、手書きで読みにくいものもあり確認に時間がかかることがあります。郵送で取り寄せる場合は往復の時間が必要です。
広域交付制度を利用すると一か所でまとめて取得できますが、窓口に直接出向く必要があります。早めに動き出すことが大切です。
有効期限に注意
書類によって有効期限が設けられているものがあります。期限切れの書類を提出すると申請が受理されないため注意が必要です。
印鑑証明書は発行から3ヶ月以内のものが有効とされる場合があります。相続人が多い場合は全員分を揃えるのに時間がかかることがあるため、タイミングを合わせて取得しましょう。
固定資産評価証明書は最新年度のものが必要です。毎年4月1日以降に最新年度のものが取得できるようになります。3月以前に手続きを進める場合は注意が必要です。
住民票は特に有効期限の定めはありませんが、なるべく最新のものを取得することをおすすめします。
漏れを防ぐチェックリスト
書類の漏れは手続きの遅れに直結します。以下のチェックリストを活用して漏れなく準備しましょう。
どのケースでも共通して必要な書類のチェックリストです。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式はそろっていますか。
- 被相続人の住民票の除票は取得しましたか。
- 相続人全員の戸籍謄本はそろっていますか。
- 不動産を取得する人の住民票は取得しましたか。
- 固定資産評価証明書(最新年度)は取得しましたか。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)は取得しましたか。登記申請書は作成しましたか。
遺産分割協議で決める場合の追加チェックリストです。
- 遺産分割協議書は作成しましたか。
- 相続人全員が署名・実印を押印しましたか。
- 相続人全員の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)はそろっていますか。
遺言書がある場合の追加チェックリストです。
- 遺言書(原本)は手元にありますか。
- 自筆証書遺言の場合、検認手続きは完了しましたか。
- 法務局保管の自筆証書遺言の場合、遺言書情報証明書は取得しましたか。
書類が全部そろったら、法務局への申請に進みましょう。書類の収集や確認が不安な場合はお気軽にご相談ください。
よくある質問

まとめ・今すぐやること
本記事では相続登記に必要な書類について、共通書類・ケース別の追加書類・取得方法・注意点まで解説しました。
最後に大切なポイントを整理します。
この記事のポイント
相続登記に必要な書類はケースによって異なります。遺産分割協議で決める場合・遺言書がある場合・法定相続分で相続する場合の3つのケースで必要書類が変わります。
どのケースでも共通して必要な書類は7種類です。被相続人の戸籍謄本一式・住民票の除票・相続人全員の戸籍謄本・不動産を取得する人の住民票・固定資産評価証明書・登記事項証明書・登記申請書が必要です。
書類収集の中で最も時間がかかるのが戸籍謄本の収集です。早めに準備を始めることが大切です。
2024年3月から始まった広域交付制度を活用すると、全国どこの役場でも戸籍謄本をまとめて取得できます。郵送費や交通費の節約になります。
印鑑証明書は発行から3ヶ月以内のものが有効です。固定資産評価証明書は最新年度のものが必要です。有効期限に注意しましょう。
2024年4月から相続登記が義務化されています。相続を知った日から3年以内に手続きをしないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
今すぐやること
一つだけ、今日できることをやっておきましょう。
固定資産税の納税通知書を探してみてください。 毎年4〜6月に届いているはずです。相続する不動産の 評価額がわかると、登録免許税の目安が計算できます。
書類集めを始める前に、まず手元にあるものから 確認するだけで十分です。
「名義変更って何から始めればいいの?」 そんな方はまずこちらをご覧ください。 期限・費用・必要書類・手続き方法を 一つひとつわかりやすく解説しています。


※本記事では、不動産実務や相続に関する一般的な情報をわかりやすくご紹介していますが、税法や制度は改正されることがあり、実際の手続きや税金の取り扱いはケースによって異なります。実際に相続が発生した場合や、具体的な対応をご検討の際は、税理士・司法書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。
金沢市・石川県で不動産の名義変更の情報量NO.1
株式会社イシトチ不動産
TEL:076-205-3940
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※不定休、面談予約制
※本記事では、不動産実務や相続に関する一般的な情報をわかりやすくご紹介していますが、税法や制度は改正されることがあり、実際の手続きや税金の取り扱いはケースによって異なります。実際に相続が発生した場合や、具体的な対応をご検討の際は、税理士・司法書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。