
誰も気にしていない法改正が、子どもたちへのつけになるかもしれない…
令和8年4月1日から「住所変更登記の義務化」が始まりましたが、関心を持っているのは行政関係者くらいで、一般の方にはほぼ届いていません。私の周りでも、ほとんど話題になっていない。
でも、だからこそ書きます。
放置の先に何があるか?
引っ越しをしても、住所変更登記をしない方は少なくありません。
「罰則もないし、まあいいか」
これまでは、そう思っていても誰も困りませんでした。でも、その積み重ねの結果が今の日本です。
登記簿を見ても所有者に連絡が取れない。電話も手紙も届かない。だから、その土地も建物も、誰も手を出せないまま放置される。
金沢にも、そういう不動産がたくさんあります。
連絡が取れないと何もできない…
災害復旧も、道路整備も、土地の活用も。そして最終的に、その問題を引き受けるのは子どもたちの世代です。
あなたの不動産は「社会とつながっています」
住所変更登記は、単なる書類の更新ではありません。あなたの不動産が「ちゃんとここにいる」と社会に示し続けることです。
シートベルトも、最初は誰もしていなかった。今は当たり前になっています。住所変更登記も、そうなってほしいと思っています。
執筆者(イシトチ不動産 小川)

石川県・金沢市を中心に不動産の名義変更(相続登記)をサポートしているイシトチ不動産の小川です。
私は、不動産の仕事を始めて間もない頃、お客様から「担当を変えてほしい」と言われたことがあります。
決済の段取りに必死で、事務的な手続きを優先してしまい、何千万円という取引を前に不安を抱えているお客様を、完全に置いてきぼりにしていました。
あの経験から、手続きよりも先に、情報整理をしてお客様の不安を取り除くことが、何よりも先だと気が付きました。
このサイトでは、不動産の名義変更(相続登記)について、お客様自身で情報整理できるような記事を書いています。
情報整理できれば不安もだいぶ無くなります。ぜひ、参考にしていただき、次の一歩を考えてみてください。
住所変更登記・氏名変更登記の義務化とは?

令和8年4月1日から、不動産を所有している方には新しいルールが適用されます。
不動産の所有権を登記した後に、住所や氏名が変わった場合、変更日から2年以内に登記簿の情報を更新することが法律上の義務になりました。
正当な理由なく手続きをしない場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。
住所変更登記・氏名変更登記とは?
簡単に言うと、「登記簿上の情報を現在の情報に合わせる手続き」のことです。
個人の方が対象となるケース
- 転勤や引っ越しなどで住所が変わった
- 結婚や離婚などで氏名が変わった
法人が対象となるケース
- 本店を移転して住所が変わった
- 合併や社名変更で名称が変わった
今まで(義務化前)はどうだった?
これまで、不動産の所有者が引っ越しや結婚・離婚などで住所や氏名が変わっても、登記簿の情報を更新する義務はありませんでした。
つまり、やらなくても罰則がなかったのです。
そのため、登記簿上の住所が何十年も前のまま放置されているケースが全国で増え続け、「所有者に連絡が取れない土地」が深刻な社会問題になっていました。
令和8年4月1日以降、何が変わる?
令和8年4月1日以降は、住所や氏名に変更があった場合、変更日から2年以内に登記申請をすることが法的義務になります。
- 引っ越しで住所が変わった方
- 結婚・離婚で氏名が変わった方
- 過去に変更したが登記をしていない方
特に注意が必要なのは「過去の変更も対象になる」という点です。
たとえば、10年前に引っ越しをして住所変更登記をしていない場合も、今回の義務化の対象になります。
変更登記の期限はいつまで?
期限は変更のタイミングによって異なります。
| 住所・氏名の変更時期 | 登記申請の期限 |
| 令和8年4月1日以降の変更 | 変更日から2年以内 |
| 令和8年4月1日より前の変更(未登記) | 令和10年3月31日まで |
令和8年4月1日より前に変更していた方には2年間の猶予期間が設けられています。ただし、猶予があるからといって放置するのは危険です。
早めに確認・手続きをしておきましょう。
なぜ義務化されたの?

今回の義務化には、日本全体が抱える深刻な問題が背景にあります。
それが「所有者不明土地問題」です。
登記簿を見ても所有者がわからない、または連絡が取れない土地が全国で増え続けています。国土交通省の調査によると、全国の土地のうち約24%が所有者不明土地で、その発生原因の約3分の1が住所変更登記をしないまま放置していることにあるとされています。
所有者不明土地が増えると、こんな問題が起きます。
- 災害復旧工事が進められない
- 道路や公共施設の整備が止まる
- 土地の有効活用ができない
- 相続時に権利関係が複雑になる
こうした問題を解消するために、国はまず2024年4月に相続登記を義務化し、続いて2026年4月に住所・氏名変更登記を義務化しました。
登記簿上の所有者情報を常に最新の状態に保つことが、社会全体の課題解決につながるのです。
義務化前の変更も対象になる?
「引っ越したのは5年前だけど、今さら関係ある?」
そう思っている方こそ、注意が必要です。
令和8年4月1日より前に住所や氏名が変わっていた場合も、今回の義務化の対象になります。
ただし、過去の変更については2年間の猶予期間が設けられています。
令和8年4月1日より前の変更(未登記)→ 令和10年(2028年)3月31日までに登記すればOK
「猶予があるから大丈夫」と放置するのは危険です。手続きが複雑な場合や、複数の不動産を所有している場合は時間がかかることもあります。
心当たりのある方は、今すぐ登記簿を確認することをおすすめします。
手続きの負担を減らす「スマート変更登記(職権登記)」とは?

「義務化されたといっても、手続きが面倒…」
そんな方に朗報です。令和8年4月1日の義務化と同時に、「スマート変更登記」という新しい仕組みが導入されました。
これは、法務局が住所や氏名の変更を自動的に確認し、登記官が職権で変更登記を行ってくれる制度です。
- 費用は無料
- 押印不要
- Webで手続き可能
一度申出をすれば以降は自動で対応
つまり、事前に一度だけ申出をしておけば、その後の住所変更は法務局が自動的に対応してくれるのです。
個人の場合
① 所有者が法務局に検索用情報の申出をする
↓
② 法務局が定期的に住基ネットに照会をかける
↓
③ 住所や氏名の変更が確認されたら、変更登記確認のメールを送信
↓
④ 所有者の了承を得た上で登記官が職権で変更登記を行う
①をしておけば、引っ越しのたびに法務局へ行く必要がなくなるため、手続きの負担が大幅に軽減されます。
法人の場合
① 会社法人等番号の申出、申請をする。
↓
② 商業・法人登記の名称、住所の変更があれば商業・法人登記システムから通知される
↓
③ 登記官が職権で変更登記を行う
つまり、最初の手続きをしておけば法務局が職権で住所変更登記と氏名変更登記をしてくれます。
スマート変更登記の利用方法
スマート変更登記を利用するには、事前に一度だけ申出が必要です。
申出方法
- Webでオンライン申請
- 法務局窓口で申請
必要なもの
- 申出書
- 本人確認書類
申出後は、住所や氏名が変わるたびに法務局が自動的に確認・更新してくれます。「面倒な手続きはしたくない」という方にこそ、スマート変更登記の活用をおすすめします。
違反するとどうなる?

「期限までに手続きしなかったらどうなるの?」
結論から言うと、正当な理由なく期限を過ぎた場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。
ただし、いきなり罰則が科されるわけではありません。段階的なプロセスがあります。
過料が科されるまでのプロセス
① 登記官が変更登記がされていないことに気づく
↓
② 登記官から申請するよう「催告」が届く
↓
③ 催告に応じて手続きをすれば過料は科されない
↓
④ 正当な理由なく無視した場合
↓
⑤ 5万円以下の過料が科される可能性がある
つまり、催告が届いた時点で手続きをすれば過料は回避できます。ただし、催告を無視し続けることは避けてください。
「正当な理由」と認められる例
期限内に手続きができなかった場合でも、以下のような事情がある場合は「正当な理由」として認められる可能性があります。
- スマート変更登記の申出をしたが法務局の職権手続きがまだ完了していない
- 市区町村の合併など行政上の変更により住所が変わった場合
- 重病や入院などで手続きが困難な状態にある
- DV被害などにより安全のため避難を余儀なくされている
- 経済的な事情により登記費用の負担が困難な状態にある
「自分の状況が正当な理由にあたるか」わからない場合は、専門家にご相談ください。
よくある質問(FAQ)

まとめ
令和8年4月1日から、住所変更登記・氏名変更登記が義務化されました。
「自分には関係ない」
そう思っている方が大半だと思います。でも、放置された住所変更登記の積み重ねが、連絡の取れない土地を生み、次の世代へのつけになっていきます。
まずは、自分の登記簿を一度確認してみてください。それだけでいい。
シートベルトが今では当たり前になったように、住所変更登記も「やって当然」という意識が広がってほしいと思っています。
▼チェックリスト
- 令和8年4月1日から義務化スタート
- 変更日から2年以内に登記が必要
- 過去の変更も対象 → 令和10年3月31日までに手続きを
- スマート変更登記を使えば一度申出するだけで自動対応
- 催告が届いたらすぐに手続きをすれば過料は回避できる
「名義変更って何から始めればいいの?」 そんな方はまずこちらをご覧ください。 期限・費用・必要書類・手続き方法を 一つひとつわかりやすく解説しています。


※本記事では、不動産実務や相続に関する一般的な情報をわかりやすくご紹介していますが、税法や制度は改正されることがあり、実際の手続きや税金の取り扱いはケースによって異なります。実際に相続が発生した場合や、具体的な対応をご検討の際は、税理士・司法書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。
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※不定休、面談予約制
※本記事では、不動産実務や相続に関する一般的な情報をわかりやすくご紹介していますが、税法や制度は改正されることがあり、実際の手続きや税金の取り扱いはケースによって異なります。実際に相続が発生した場合や、具体的な対応をご検討の際は、税理士・司法書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。