相続人に認知症の人がいる場合、名義変更はどう進める?

認知症の相続人がいる場合の名義変更について調べてますか?

相続人の中に認知症の方がいる場合、そのままでは遺産分割協議ができません。認知症の方が協議に参加するには、原則、家庭裁判所で「成年後見人」を選任する必要があります。 これを知らずに手続きを進めようとして、途中で止まってしまうケースが相談現場では非常に多いです。

イシトチ不動産の小川は不動産・建築の現場に15年以上携わってきて、1,000人超のご相談を受けてきました。認知症の相続人がいる場合の相続登記は不動産の名義変更を難しくする理由の1つです。ここでは、認知症の相続人がいる場合の手続きの全体像を4つのステップで解説します。また、成年後見制度の種類や、始める前に知っておくべき注意点も合わせてお伝えします

この記事を読み終えると、以下のことが理解できます。

  • 相続人に認知症の方がいると、相続登記が止まる理由
  • 認知症の方が署名した遺産分割協議書は法律上無効になること
  • 後見人の選任まで、手続きの具体的な4つのステップ
  • 成年後見は一度始めると原則取り消せず、後見人の報酬が長期にわたるリスク
  • 遺言書がある場合、成年後見人の選任なしに相続登記できるケースがあること
目次

なぜ認知症の人がいると手続きが止まるのか

なぜ認知症の人がいると手続きが止まるのか

相続登記を進めるためには、相続人全員で「誰が何を相続するか」を決める遺産分割協議を行い、全員が署名・実印を押した遺産分割協議書を作成する必要があります。

ここで問題になるのが、認知症によって判断能力が失われている方の存在です。

遺産分割協議は、内容を理解した上で合意することが前提です。判断能力がない状態でサインをしても、その協議は法律上無効になります。たとえ家族が「本人も同意しているはず」と思っていても、認知症の方が署名した遺産分割協議書は認められません。

解決策は「成年後見人」の選任

認知症の相続人が遺産分割協議に参加するためには、家庭裁判所に申し立てを行い、その方の代わりに法律行為を行う「成年後見人」を選任してもらう必要があります。

成年後見人が選任されると、認知症の相続人の代わりに遺産分割協議に参加し、署名・押印を行うことができます。これにより、相続登記の手続きを進めることが可能になります。

成年後見制度の2種類

成年後見制度には、状況によって2種類あります。

① 法定後見(すでに判断能力が低下している場合)

すでに認知症の症状が出ている場合に利用する制度です。家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が後見人を選任します。後見人には家族がなれる場合もありますが、財産規模や状況によって司法書士・弁護士などの専門家が選任されることもあります。

申し立てから後見人が選任されるまで、通常2〜4ヶ月程度かかります。

② 任意後見(まだ判断能力がある場合)

本人がまだ判断能力を持っているうちに、将来に備えて後見人を自分で決めておく制度です。「親が軽度の認知症で、今ならまだ話ができる」という段階であれば、この制度を活用することで後見人をあらかじめ決めておくことができます。

手続きの流れ

認知症の相続人がいる場合の相続登記は、以下の流れで進みます。

STEP
申し立てするための準備

医師の診断書を取得する 成年後見の申し立てには、認知症の診断書が必要です。かかりつけの医師に依頼して取得します。

STEP
家庭裁判所へ申し立て

家庭裁判所に申し立てを行う 被後見人(認知症の方)の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。申し立てには、申立書・診断書・戸籍謄本・財産目録などの書類が必要です。

STEP
後見人の選任まで

後見人が選任される 申し立てから2〜4ヶ月程度で後見人が選任されます。選任後は、後見人が認知症の相続人の代わりに遺産分割協議に参加できるようになります。

STEP
相続手続きの実行

遺産分割協議・相続登記へ 後見人が選任されたら、改めて遺産分割協議を行い、協議書を作成します。その後、通常の相続登記の手続きに進みます。

成年後見を始める前に知っておくべきこと

成年後見制度には、知っておくべき重要な点が2つあります。

① 一度始めると原則として取り消せない

成年後見は、認知症の方が亡くなるまで続きます。後見人には報酬が発生する場合があり(専門家が後見人になった場合、月2〜5万円程度)、その費用は被後見人の財産から支払われます。相続登記のためだけに始めたつもりが、その後も長期にわたって関わり続けることになります。

② 後見人は必ずしも家族が選ばれるとは限らない

財産の規模が大きい場合や、家族間に利害関係がある場合は、司法書士・弁護士などの第三者が後見人に選任されることがあります。「家族が後見人になれると思っていたのに」というケースも少なくありません。

遺言書があれば成年後見が不要になるケースも

亡くなった方が遺言書を残していた場合、遺産分割協議が不要になることがあります。遺言書の内容に従って相続登記を進められる場合は、成年後見人の選任なしに手続きを完了できるケースもあります。

遺言書の有無は、手続きの難易度を大きく左右します。まず遺言書の確認から始めることをおすすめします。

ただし、遺産分割協議に限った話になり、認知症対策としての成年後見が不要になるとは別の話です。

まとめ

相続人に認知症の方がいる場合、成年後見人の選任なしに相続登記を進めることはできません。ただし、手続きの道筋は必ずあります。

成年後見の申し立てから後見人の選任まで2〜4ヶ月、その後の相続登記まで含めると、全体で半年以上かかることも珍しくありません。2027年3月の義務化の期限を考えると、早めに動き出すことが重要です。

「親が認知症で、どこから手をつければいいかわからない」という状態でも構いません。まず現状を話してみてください。一緒に整理するところから始めます。

まず現状を話してみてください。一緒に整理するところから始めます。

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「名義変更って何から始めればいいの?」 そんな方はまずこちらをご覧ください。 期限・費用・必要書類・手続き方法を 一つひとつわかりやすく解説しています。

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※本記事では、不動産実務や相続に関する一般的な情報をわかりやすくご紹介していますが、税法や制度は改正されることがあり、実際の手続きや税金の取り扱いはケースによって異なります。実際に相続が発生した場合や、具体的な対応をご検討の際は、税理士・司法書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。

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