遺言書の3種類、まず結論から、
遺言書には、法律で定められた3つの種類があります。
- 自筆証書遺言(全文を手書きで作成)
- 公正証書遺言(公証役場で公証人が作成)
- 秘密証書遺言(内容は秘密のまま、存在だけを公証人に証明してもらう)
それぞれの違いを一覧で整理すると、次のようになります。
| 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
| 費用 | ほぼ無料 | 数万円〜 | 数万円〜 |
| 作成方法 | 全文を自筆 | 公証人が作成 | 自筆またはPC |
| 証人 | 不要 | 2名必要 | 2名必要 |
| 検認手続き | 原則必要※ | 不要 | 必要 |
| 無効になるリスク | やや高い | ほぼなし | やや高い |
| 内容の秘密保持 | ◎ | △ | ◎ |
※法務局の保管制度を利用した場合は不要
高齢になり、これから相続準備を進めるなかで、「自分も遺言書を残しておいた方がいいかもしれない」と思い始めた方も多いのではないでしょうか。
あるいは、今まさに故人の遺品を整理していて、「遺言書らしき封筒が出てきた。これはどう扱えばいいの?」という状況の方もいるかもしれません。
父の他界をきっかけに相続手続きに直面し途方に暮れました。 その経験から相続手続きを調べなおし、実務で役立つ内容をまとめています。

遺言書には3種類あります。どの種類かによって、手続きの流れも、法的な有効性も、家族への影響も変わります。この記事では、3種類の違いを整理した上で、「どれを選べばいいか」の判断基準までお伝えします。
◎この記事を読み終えると、以下のことが理解できます。
- 遺言書には3種類あり、それぞれの作成方法・メリット・デメリット
- 自筆証書遺言で「書き方のミス」が無効につながる具体的なNG例
- 石川県内で公正証書遺言を作成できる公証役場の場所と連絡先
- 自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらが向いているかの判断基準
- 秘密証書遺言が実務でほとんど使われない理由と、現実的な選択肢の考え方
今の状況を一緒に整理するところから始めましょう!
遺言書とは?
遺言書とは、財産の分配や家族へのメッセージなどを生前に書き残し、死後に自身の意思を実現するための重要な手段です。遺言書があることで、相続におけるトラブルを回避し、円滑な財産の引き継ぎが可能になります。
遺言書には主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。それぞれの特徴や注意点を解説します。
1.自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、遺言者が全文を自分の手で書いて作成する遺言書です。費用はほぼかからず、自分のペースで作成できる反面、書き方に厳しいルールがあります。
メリット
- 費用がかからない(紙とペンがあれば作成可能)
- 自分のタイミングで、誰にも知られずに作成できる
デメリット
- 書き方に不備があると遺言書全体が無効になる
- 相続発生後に家庭裁判所での「検認」手続きが必要(法務局保管制度を利用した場合を除く)
- 自宅保管の場合、紛失・改ざん・隠匿のリスクがある
作成時の注意点
- 全文を自筆で記載する(財産目録はパソコン可。但し、署名捺印必要)
- 日付を正確に書く(「〇月吉日」はNG。「令和〇年〇月〇日」と明記)
- 署名と捺印が必要
- 財産の特定は明確に(「預金すべてを長女に」など曖昧な表現は避ける)
自筆証書遺言書保管制度
自筆証書遺言のリスクを大きく減らす制度として、2020年7月から法務局での保管制度が始まりました。
- 法務局で遺言書を保管(紛失・改ざんを防止)
- 家庭裁判所の「検認」が不要になる
- 相続人が全国どこの法務局からでも検索・確認できる
- 申請時には遺言者本人が法務局に出向く必要がある(手数料:3,900円)
自筆証書遺言を作成する場合は、この制度の活用を強くおすすめします。
どの法務局にお願いすればいい?
自筆証書遺言書保管制度を利用できる法務局は、全国どこでもよいわけではありません。 遺言者本人に関係する、以下の3つのいずれかを管轄する法務局に限られます。
- 遺言者の住所地を管轄する法務局
- 遺言者の本籍地を管轄する法務局
- 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局
たとえば金沢市にお住まいの方であれば、金沢市を管轄する金沢地方法務局本局になります。
- 金沢市→金沢地方法務局本局
- 野々市市→金沢地方法務局本局
- 白山市→金沢地方法務局本局
- 小松市→金沢地方法務局小松支局
- 加賀市→金沢地方法務局小松支局
2. 公正証書遺言とは
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書です。3種類の中で最も法的確実性が高く、相続トラブルの防止に最も効果的です。
メリット
- 公証人が作成するため、法的に無効になる可能性がほぼない
- 家庭裁判所の「検認」が不要で、相続発生後すぐに手続きに使える
- 原本が公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配がない
デメリット
- 作成費用がかかる(財産額に応じた公証手数料。財産総額が1,000万円以下の場合、概ね2〜3万円程度)
- 証人2名が必要(自分で用意するか、有料で公証役場に依頼)
- 公証役場への出向など、手続きに手間がかかる
作成の流れ
- 公証役場に連絡し、必要書類と遺言内容を事前に伝える
- 公証人が遺言書の文案を作成
- 本人・証人2名が公証役場に出向き、内容を確認して署名・押印
- 原本は公証役場で保管、正本・謄本が手元に渡る
石川県には公証役場が3つ
お近くの公証役場でご相談下さい。
金沢公証人合同役場
金沢市武蔵町6-1 レジデンス第2武蔵1階 TEL:076-263-4355
小松公証役場
小松市日の出町1-126 ソレアード2階 TEL:0761-22-0831
七尾公証役場
七尾市藤橋町戌部26-1 トウアイビル102 TEL:0767-52-6508
3. 秘密証書遺言とは
秘密証書遺言は、内容を誰にも見せないまま、遺言の「存在」だけを公証人に証明してもらう方法です。
メリット
- 遺言の内容を誰にも知られずに作成できる
- パソコンで作成することも可能
デメリット
- 内容のチェックはされないため、法的に無効となるリスクがある
- 相続発生後に家庭裁判所の「検認」が必要
- 紛失リスクもある(自宅保管が基本)
秘密証書遺言は、実務ではほとんど使われていません。「内容を秘密にしたい」という目的は自筆証書遺言でも達成できますし、「公的な証明がほしい」という目的は公正証書遺言の方が確実です。この2つのいいとこ取りを狙った制度ですが、「無効リスクがある」という致命的なデメリットがあるため、現実的な選択肢になることはほとんどありません。
どの遺言書を選べばいい? 判断の目安
迷ったときは、次の基準で考えてみてください。
自筆証書遺言(+法務局保管)が向いている方
- 財産の種類がシンプル(自宅1軒+預金口座のみなど)
- 相続人が1〜2名で、関係が良好
- まず費用をかけずに遺言書を準備したい
公正証書遺言が向いている方
- 相続人が複数いて、意見の相違が生じる可能性がある
- 不動産が複数あるなど、財産が複雑
- 法的に確実なものを残したい
- 「書き方のミスで無効になった」というリスクをゼロにしたい
遺言書に関してよくある誤解
「財産が少ないから遺言書は必要ない」
これは誤りです。むしろ財産が「自宅1軒と少しの預金」というケースで、相続人が複数いる場合にこそ、遺言書の有無が大きな差を生みます。不動産は分けることができないため、誰が引き継ぐかをめぐって話し合いが長引くことが少なくありません。
「遺言書があれば相続はスムーズに終わる」
遺言書があっても、内容に不備があれば無効になります。また、法定相続分を大きく侵害する内容であれば、「遺留分」をめぐるトラブルに発展することもあります。
よくある質問
まとめ
遺言書の3種類の違いを整理します。
- 自筆証書遺言:費用をかけずに手軽に作成できる。法務局保管制度を使えばリスクを抑えられる。
- 公正証書遺言:費用はかかるが、最も確実。相続トラブルを防ぎたい方に強くおすすめ。
- 秘密証書遺言:実務での利用は少ない。よほど特殊な事情がない限り、他の2種類で対応できる。
遺言書は「残す人の意思」であると同時に、「残された家族へのプレゼント」でもあると、私は思っています。準備することで、大切な方が悩まずに済む。それだけで、十分な意味があります。
「うちの場合、どれが合っているんだろう?」と思ったら、ぜひ一度ご相談ください。
金沢市・石川県を中心に、相続のご相談を承っています。はじめての相続で何をどう進めればいいか分からない方も、まずはお気軽にお声がけください。難しい話の前に、まず状況を一緒に整理するところから始めましょう。
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※本記事では、不動産実務や相続に関する一般的な情報をわかりやすくご紹介していますが、税法や制度は改正されることがあり、実際の手続きや税金の取り扱いはケースによって異なります。実際に相続が発生した場合や、具体的な対応をご検討の際は、税理士・司法書士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。
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※この記事は2026年3月31日時点の情報に基づいています。相続に関する法律は改正されることがあります。法律変更によって相続のルールに影響が出ることもあるため、最新の情報を踏まえて適切に対応してください。当社は税理士や司法書士ではありません。そのため、相続税の申告や登記手続きなど、税務や法律に関わる専門的な手続きについては、税理士や司法書士と連携しながら最新の法律をもとに対応しています。